家の解体工事は、人生のなかでも多く経験することではありません。初めての経験で「必要な手続きがわからない」「自分でやるべきことはある?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そのためこの記事では、解体工事前後の手続きの種類や必要書類、提出期限などを紹介します。解体工事の専門家である株式会社上池解体興業が初めての方にもわかりやすくご説明しますので、参考にしてみてください。
解体工事に関する手続きは、法律で義務付けられていることがあります。提出しないと最大20万円の罰金を科されることもあるため、今のうちに確認しておきましょう。
家の解体前に必要な5つの手続き
家を解体する前には、5つの手続きや準備が必要です。
- 1.解体工事届出
- 2.道路使用許可申請
- 3.水道を除くライフラインの停止
- 4.近隣説明会
- 5.家具や家電の処分
施主に提出義務がある書類もあり、怠ると罰金を科されることもあります。今のうちに確認しておきましょう。
1.解体工事届出
「解体工事届出」とは、解体工事をすることや廃材を所定のルールで処分することなどを自治体に申告する書類です。建設リサイクル法により、床面積80㎡以上の家を取り壊すときには、着工7日前までの提出が必要になります。
提出の義務は施主にあるものの、一般的には業者が代行するケースが多いです。委任状の作成のみで済むため、特別な事情がなければ業者に任せるのが良いでしょう。ただし、代行にかかる手数料などはあらかじめ確認しておくことが大切です。
代行費用の節約のために自分で申請する場合は、以下の書類を用意して自治体の窓口に提出しましょう。
- ・分別解体等の計画書
- ・案内図
- ・設計図または写真
- ・配置図
- ・工程表
2.道路使用許可申請
解体工事では、家の前に重機やトラックが停まるため、道路交通法にもとづいて「道路使用許可申請」が必要です。加えて、数日間にわたって道路に足場などを置く場合は、「道路占有許可申請」を提出します。
提出の義務は施工業者にあり、着工2週間前までに警察署に申請します。施主がすることは特にありませんが、申請費用がかかるかどうか見積もりを確認しておくことが大切です。また、申請費用の節約のために自分で申請する場合は、業者に伝えたうえで以下の書類を用意しましょう。
- ・道路の使用場所あるいは付近の見取り図
- ・道路を使用する施工の内容がわかる書類
- ・設計図および仕様書
ただし、自分で申請する際にも2,500円〜2,700円ほどの費用がかかるため、かえって割高になってしまうおそれがあります。
3.水道を除くライフラインの停止
電気・ガス・電話・テレビ・インターネット回線などのライフラインが通ったまま施工をするとトラブルにつながるため、着工前に停止手続きが必要です。各窓口に連絡して、停止したい日にちを伝えましょう。
ブレーカーなどを撤去するため、直前になって連絡すると解体の着工に間に合わないおそれがあります。明確な期限はありませんが、約2週間前までには連絡しておくと安心です。
ただし解体工事は、粉塵が舞うのを避けるために水を撒きながら施工します。そのため、水道は止めずに残しておきましょう。また、施工の水道代の負担についてはあらかじめ施工会社に聞いておきましょう。
4.近隣説明会
解体工事では、振動や騒音、粉塵、道路使用などによって近隣に迷惑をかけてしまいます。突然工事が始まるとトラブルにつながるため、あらかじめ説明をして理解を得ておきましょう。最低でも両隣、裏、向かいの家には挨拶しておくと安心です。
自治体によっては近隣説明の範囲や方法が定められていることがあります。たとえば東京都目黒区では、500㎡未満の住宅の解体工事において、着工10〜15日前までに標識設置、7日前までに挨拶、5日前までに役所に説明内容の報告を求めています。
近隣説明は施工会社が代行してくれることも多いです。ただし施主も同行して顔を合わせておくと誠意が伝わりやすいでしょう。
5.家具や家電の処分
着工時に家具や家電が残っている場合は、撤去費用を請求されることがあります。業者は産業廃棄物として処分する必要があるため、施主が処分するよりも費用が高くなるケースが多いです。そのため、あらかじめ処分しておくとコストを節約できます。
ただし、木製の家具などは撤去費用がかからないことがあります。撤去費用を安くするために自分で処分しても無駄な手間になってしまうので、不要物の処分費用は施工会社に確認しておきましょう。
また、リサイクルショップやフリマサイトで売却すれば、予想以上に価値がついて工事費用の足しになることもあります。思い入れのあるものは親しい人に譲渡したり、トランクルームに預けたりするのも良いでしょう。
家の解体後に必要な手続き
家を解体した後は、家屋がなくなったことを報告する手続きが必要です。申請を怠ると罰金を科されたり、払うべき税金がわからなくなったりすることがあります。工事が終わって落ち着くと忘れやすいので、早めに済ませておきましょう。
建物滅失登記申請
「建物滅失登記」とは、土地から建物がなくなったことを報告する書類です。
提出義務は施主(家屋の所有者)にあります。以下の書類を用意して、1か月以内に法務局に申請しましょう。
- ・建物滅失登記申請書
- ・登記簿謄本
- ・取り壊し証明書
- ・解体業者の印鑑証明書など
- ・案内図
土地にかかる税金は、建物があるかどうかで金額が変わります。
そのため建物滅失登記をしないと、正しい金額を納められません。現在はマイナンバーカードを利用してオンラインで申請できるため、忘れないうちに提出しておきましょう。
また、自分での申請を負担に感じる方は、土地家屋調査士への代行依頼も可能です。
必要書類の取得を含め、約50,000円前後で依頼できます。
水道の停止
解体工事に使用した水道の停止手続きが必要です。
自治体によっては着工前にも一度連絡が必要なことがあります。管轄の水道局のホームページを確認して、所定の手順で手続きを進めましょう。
アスベストを含む家の解体に必要な3つの手続き
1975年以前に建てられた住宅は、アスベストが含まれている可能性があります。
アスベストとは、1975年以前に耐熱材などとして広く用いられていた繊維状の鉱物です。近年の調査で健康に影響をおよぼすことがわかり、2021年から解体工事前のアスベスト調査が義務付けられました。
アスベストの危険度はレベル1〜3で表され、レベルごとに施工内容や手続きが異なります。そのためここからは、アスベストが見つかった場合の手続きを紹介します。
- 1.工事計画届出
- 2.建物解体等作業届出
- 3.特定粉じん排出等作業届
1.工事計画届出
最も危険なレベル1の住宅では、アスベスト解体工事をすることを報告する「工事計画届出」が必要です。
労働安全衛生法などによって義務付けられており、着工14日前までに施工会社が労働基準監督署へ提出します。
2.建物解体等作業届出
「建物解体等作業届出」は、アスベスト解体工事を始めることを報告する書類で、レベル1と2の住宅において提出が必要です。石綿障害予防規則などによって義務付けられており、着工までに施工会社が労働基準監督署へ提出します。
3.特定粉じん排出等作業届
レベル1と2のアスベスト解体工事では、大気汚染防止法にもとづいて「特定粉じん排出等作業届」が必要です。着工14日前までに施工会社が各都道府県へ提出します。
最も危険度が低いレベル3では特に提出書類はありません。ただし、基準に沿った特別な施工が必要になります。
故人の家の解体に必要な手続きと注意点
「家を相続したけど誰も住まないから解体したい」という方も多いのではないでしょうか。
そのためここからは、故人宅の解体工事に必要な手続きや準備を紹介します。
きちんとした手順をふまないとトラブルになることもあるため、今のうちに確認しておきましょう。
名義人の確認
相続した住宅では、「父名義だと思っていたのに、祖父名義のままだった」というケースも少なくありません。
そのためまずは、法務局窓口あるいはオンラインで登記簿謄本を請求し、名義人を確認しましょう。自分が名義人(相続人)なのかどうかで手続きの方法や流れも変わります。スムーズに進めるためには、最初に名義人を確認しておくことが大切です。
また、抵当権の確認も必要です。
抵当権者の承諾なしでは解体できないので、法務局や行政書士などに相談して確認しましょう。
法定相続人での話し合い
解体工事をする前に、法定相続人同士で話し合いましょう。
法定相続人が複数人いる場合は、勝手に解体するとトラブルにつながります。
解体費用の分割方法や解体後の土地の活用方法なども含め、相談しておきましょう。
建物滅失登記の際には、遺産分割協議書を求められることがあります。協議書には法定相続人全員の押印が必要なため、手間と時間がかかります。余裕を持ってスケジュールを立てておきましょう。
未相続でも解体工事の依頼は可能
解体工事の依頼者は、相続人である必要はありません。妻が相続した住宅の解体工事を、夫が施工会社に依頼することも可能です。相続人ではないことを施工会社に伝える義務もありません。
ただし、解体後の建物滅失登記を提出できるのは相続人のみです。
相続人から頼まれて施工会社に依頼する場合でも、建物滅失登記だけは相続人に手続きしてもらう必要があります。
亡くなった方の住宅の解体工事では、名義人や相続人の確認、法定相続人での協議が欠かせません。トラブルを避けるためには、行政書士や弁護士などの第三者に仲介を依頼するのもおすすめです。
家の解体に伴う手続きの注意点3つ
家の解体工事では、知っておかないと損をしてしまうことがあります。
取り壊してから気付くと後悔してしまうため、あらかじめ確認しておきましょう。
1.怠ると罰則が科されることがある
解体工事に必要な手続きは、建物リサイクル法や道路交通法などによって義務付けられています。手続きを怠ると罰金を科されることがあるため注意しましょう。たとえば解体工事届出は最大20万円、建物滅失登記は最大10万円の罰金となります。
手続きの不備を防ぐためには、提出書類について施工会社と相談しておくことが大切です。各書類の提出をどちらが担当するのか、代行手数料はかかるのかなどを確認しておきましょう。自分で手続きする場合は、必要書類の準備期間も含めて余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
2.固定資産税が高くなることがある
解体工事の前後では、税金の金額が変わります。
これは土地にかかる固定資産税は、建物があるかどうかで計算方法が変わるからです。住宅のある土地には、減税の特例が適用されています。
たとえば200㎡以下の住宅用地では、固定資産税が評価額の1/6になっています。そのため解体後の土地は、最大で6倍の固定資産税が必要です。負担調整措置という仕組みがあるため実際には3〜4倍で済むことが多いものの、解体前より高くなることに違いはありません。
固定資産税は1月1日時点で計算されるため、1月1日に住宅があればその年の固定資産税は1/6になります。年末の解体や建て替えを検討している方は、固定資産税の計算も考慮してスケジュールを立てるのがおすすめです。
3.土地の活用方法を決めておく
解体する前に、解体後の土地の活用方法を決めておきましょう。更地を放置していると雑草が生い茂り、不法投棄や害獣などのトラブルのリスクが高まります。近隣からのクレームにもつながるため、解体後は計画的に次の活用方法への準備を進めることが大切です。
また、今は住宅が建っている土地でも解体後に建築できないことがあります。なぜなら建築当時と現行のルールが変わっている可能性があるからです。建て替えや住宅用地としての売却を検討している方は、あらかじめ確認しておきましょう。
家の解体の手続きは業者への委任がおすすめ
ここまで紹介してきたように、解体工事には多くの手続きや準備があります。
それぞれの書類作成には専門知識が必要なことや、手続きのために別途書類の準備が必要になることもあります。手間や時間をふまえると、施工会社への代行依頼がおすすめです。
解体工事の専門業者は書類作成や提出にも慣れています。不備があれば会社の信用に関わるため、丁寧かつスムーズに対応してくれるでしょう。
手間と時間をかけて自分で手続きすることで、費用を節約できることもあります。しかし、手続き費用が解体費用に含まれていることもあり、かえって損をしてしまうおそれがあります。自分で行う場合は、業者と話し合ったうえで進めましょう。
まとめ
家の解体工事の前後には、さまざまな手続きや準備が必要です。
アスベストを含む住宅や故人宅の解体工事では、さらに多くの負担がかかります。各書類はそれぞれ提出方法・提出先・期限が異なるため、すべて自分で行うのは難しいでしょう。そのため解体工事専門業者への依頼がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。書類を作成・提出いたしますので、お客さまには書類の確認と捺印などの最低限の手間しかおかけしません。お見積もりは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。