解体工事に粉じん飛散はつきもの。特にアスベストの解体工事が近隣で行われる際には、「外で洗濯物を干さないほうが良いの?」「解体場所の周辺を通っても良いの?」と、心配や不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、アスベストの解体工事中にも洗濯物を干して良いかどうかを解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」がわかりやすく解説!業者による飛散防止対策や、解体中の粉じん被害と対策方法についてもご説明しますので、参考にしてみてください。
近隣でアスベストの解体工事があっても洗濯物は干してOK
近隣でアスベスト解体工事が行われている場合でも、普段と同じように洗濯物を干しても基本的には問題ありません。理由は、解体中にアスベストが外部へ漏れ出さないように、業者による飛散防止対策が徹底されているからです。
また飛散防止対策は法律で詳細に定められ、業者の措置や方法に違反があった場合には直接罰が科される仕組みになっています。
これからアスベストの危険性や業者の飛散防止対策、洗濯物以外にある粉じん被害について具体的に解説していきます。
そもそもアスベストの危険性とは?
アスベストは飛散したときに危険性がもっとも高くなります。
そのため洗濯物や衣類に付着すること自体が根本的な問題ではなく、洗濯物を取り込んだ際に家の中でアスベストが舞い、人が吸ってしまうことが問題。なるべく室内にアスベストを入れない工夫が大切です。
またアスベストは肺がんを引き起こす原因として認められていますが、短期間や低濃度ばく露における発がん性は明らかになっていません。そのため洗濯物に付着するような少量のアスベストであれば、病状として現れる可能性は低いです。
業者によるアスベスト解体中の飛散防止対策
解体中にアスベストが近隣へ飛散することを防ぐために、解体業者ではいくつかの対策が行われています。こちらでは「業者によるアスベスト解体中の飛散防止対策」について、以下の4つを紹介します。
なおアスベストのレベルや種類、状況などによって多少違いがあるため、参考としてご覧ください。
- ・散水や薬液による湿潤化
- ・粉じん飛散防止剤の散布
- ・養生シートの設置
- ・集じん機による隔離
散水や薬液による湿潤化
アスベストが飛散しないように、散水や粉じん飛散抑制剤等の薬液を散布する「湿潤化」と呼ばれる工程があります。例えば「吹付け材の切断作業」のようにアスベストの飛散性が高まる作業の際には、除去作業場や除去対象建築材、廃棄物に対する湿潤化が義務付けられています。
粉じん飛散抑制剤は強い接着力を持ち、吹き付け材の内部まで浸透しアスベスト繊維間を結合させ、空気中に浮遊するアスベスト沈降の促進が可能です。そのため散水よりも飛散防止効果が高いことから、抑制剤を用いた湿潤化が一般的です。
粉じん飛散防止剤の散布
アスベストの除去後に飛散を抑制するために、処理面に対して「粉じん飛散防止処理剤」を散布します。粉じん飛散防止処理剤は表面上に被膜を形成する性質を持ち、残存する粉じんを固定化し飛散を防止できる効果があります。
隔離養生シートと作業場内で使用した工具にも粉じん飛散防止処理剤を散布し、外へ持ち出した際に残存する粉じんが空気中に飛散することを防ぎます。
養生シートの設置
アスベストで汚染された空気が外へ漏れないように、除去作業開始前には「作業場の壁や床、内部と外部をつなげる開口部」に養生シートを設置します。養生シートの設置位置だけでなく、シートの厚さや種類、設置方法などが環境省より細かく指定されています。
また立体駐車場のように扉や窓がない施設の場合には、建物外周に防音シートやメッシュシートを設置し、さらに内部の作業場を隔離養生することで、風圧で破損しないように徹底的に対策します。
集じん機による隔離
高濃度のアスベスト粉じんが発生する作業の場合には、隔離養生が十分でもわずかな隙間から外部へアスベストが飛散する可能性も。そのため「集じん機」を設置することで内部の粉じんをフィルタを通じて吸引・除去し、汚染空気を隔離する方法で対策します。
また集じん装置は24時間稼働が原則とされ、最後に停止する際には作業場内の「総繊維数濃度」を測定し、粉じん処理が完了状態にあることを確認したうえで停止し隔離を解除します。
アスベストが付着した衣類を自分で洗濯する方法
アスベストの解体工事付近をなにも対策せずに通ってしまったり、解体工事中に洗濯物を知らずに干してしまったりなど、服にアスベストが付着してしまうケースがあります。
このようなケースで少量のアスベストが付着した衣類は、業務向けのクリーニング業者に出さなくても、自宅で洗濯できます。アスベスト付着の恐れがある衣類は、以下の流れに従って洗濯をすると良いでしょう。
- 1.アスベストが付着した衣類をほかの洗濯物と分ける
- 2.下洗いをする
- 3.アスベストが付着した衣類だけをまとめて洗濯と濯ぎをする
- 4.外干し・室内干し
ほかの洗濯物へ付着する可能性があるため、別々で洗濯するのがポイントです。またそのまま洗濯してしまうとアスベストが落としきれない可能性もあるため、必ず「下洗い」をすると良いでしょう。
下洗いが完了したら、アスベスト付きの衣類だけをまとめて、「洗濯と濯ぎ」をします。下洗いをしても付着している恐れがあるため、普通の衣類とは別で洗濯しましょう。
最後に「外干しもしくは室内干し」で乾かしてください。近隣で解体工事が行われている場合には室内干しにして、再度アスベストが付着しないように対策しましょう。
アスベスト解体中に起こる洗濯物以外の粉じん被害とその対策方法
アスベスト解体工事中に発生する粉じんは、健康や生活などあらゆるものに大きな影響を及ぼします。こちらでは「アスベスト解体中に起こる洗濯物以外の粉じん被害や影響」について、以下の3つを紹介します。
- ・住宅内への影響
- ・車やバイクへの影響
- ・人体への被害
住宅内への影響
業者による対策が十分でも、粉じんが外部へ飛散する可能性はゼロではありません。そのため家の窓やドアを開けたままにしていると、住宅の中にまでアスベストの粉じんが入ってくることも考えられます。また真横で解体が行われている場合に、冷暖房をつけていると室外機を通じてアスベストが部屋の中へ入り込む可能性も。
そのため解体工事が行われている最中に家の中で過ごす場合には、なるべくエアコンを使わずに、窓を閉めたままで過ごすことをおすすめします。
車やバイクへの影響
近隣や自宅でアスベスト解体工事が実施されているときに、自宅の駐車場に普段通り車やバイクを駐車していると、表面部分にアスベストが覆い被さるケースも。
アスベストが被さった車体を自分で洗浄するのは危険を伴う作業であるため、解体業者にシートを貸し出してもらい車やバイクを保護する対策方法がおすすめです。
人体への被害
解体工事近くを通った場合に、飛散したアスベストが目に入り擦ってしまうと、傷ついてしまうことも。また大量に吸い込んだ場合には直後に症状は現れず、15年以上の潜伏期間を経て咳やガンなどの病気の症状が現れるケースが報告されています。
少量であってもアスベストを吸い込んだ可能性があり、息切れや咳、目の痛みなどの症状を感じる方は、医療機関に相談すると良いでしょう。
【洗濯物以外にも】近所のアスベスト解体作業中の注意点3つ
アスベストの解体作業中にも安全に過ごすために、何かできることはあるのでしょうか。こちらでは「近所のアスベスト解体作業中の注意点」について、以下の3つを紹介します。
粉じん被害に遭ってから後悔しないためにも、今のうちに確認しておきましょう。
- ・外出時には拭き取りやすい素材の服を着る
- ・濡れタオルを使った「湿式除去」をする
- ・適切な対策が確認できない場合は労働基準監督署に問い合わせる
1.外出時には拭き取りやすい素材の服を着る
アスベストの施工現場付近を通った際には、着用している衣服に付着する可能性も。そのため外出時に工事現場の近くを通る場合には、拭き取りやすい素材の服や上着を羽織ると良いでしょう。
特に防水機能性の優れる「雨合羽やレインコート」などのレインウェアは、アスベストが付着した場合にも拭き取りやすいためおすすめです。一方で「ポリエステル等の合成繊維やウールなどのセーターやカーディガン」は、拭き取りにくい素材のため注意してください。
2.濡れタオルを使った「湿式除去」をする
アスベストが服や靴、マスクなどに付着した恐れがある場合には、濡れタオルを使った「湿式除去」がおすすめです。湿式除去がおすすめな理由は、作業員が作業着等に付着したアスベストを取り除く際に、たたき落とすのではなく「濡れたタオルでふき取る」方法が一般的だからです。
そのため家に入る前や解体中に干した洗濯物を取り込む際には、着用していた衣類に対して「湿式除去」でアスベストを落とすと良いでしょう。
3.適切な対策が確認できない場合は労働基準監督署に問い合わせる
アスベストに関連する看板が設置されていない場合や、養生シート等の設置がないまま作業している場合など、法規制に違反する作業内容が見られるケースも少なくありません。
適切な粉じん防止対策が確認できない場合には、管轄地域の労働基準監督署に問い合わせてください。解体工事開始前には必ず労働基準監督署へ届け出ることが義務付けられており、届出書の内容を踏まえて適切に対応してもらえます。
アスベスト除去依頼は解体工事専門業者がおすすめ
アスベスト除去依頼は「解体工事専門業者」がおすすめです。
もちろん、リフォーム会社や建設会社、工務店など、他業者にもアスベストの除去工事は依頼できます。とはいえ解体が専門でない業者は、解体工事に慣れていないために規定に違反する方法で行ってしまいアスベストが飛散する可能性があります。また工務店に依頼してしまうと、下請けの解体業者とコミュニケーションを取る機会がなく、挨拶回りや保護シートの貸し出しなどの融通が効かない可能性も。
一方で解体業者はアスベストに関する豊富な経験や知識があり、法規則を遵守した適切な方法で行えます。また解体業者に直接依頼するなら、挨拶回りを一緒に行えるように段取りを組んでくれる場合もあります。
周囲への粉じん被害やアスベスト関連のトラブルを最小限に抑えるためにも、アスベスト除去作業は解体工事専門業者に依頼すると良いでしょう。
アスベスト解体業者を選ぶときのポイント2つ
アスベスト関連のトラブル回避や解体にかかる費用を安くするうえで、業者選びが重要です。こちらでは「アスベスト解体業者を選ぶときのポイント」について、以下の2つを紹介します。特に初めて解体業者に依頼する方は、それぞれ確認してみてください
- ・複数の解体業者に問い合わせる
- ・専門技術者の在籍を確認
1.複数の業者に問い合わせる
業者に依頼する際には、1番はじめに問い合わせた業者に決めてしまう必要はありません。複数の業者に問い合わせを行い、見積もり金額や第一印象を比較し相対的に良いと思った業者に依頼すると良いでしょう。
業者を探しはじめる前には、「家の解体業者の損しない選び方!トラブルを避ける方法も解説」を確認してみてください。
2.専門技術者の在籍を確認
アスベストが含まれる建材の有無を調べる「事前調査」と「解体工事」は、以下の専門資格を有する者でなければ作業者として認められません。
作業事項 | 適任者として認められる専門資格 |
事前調査 | ・特定建築物石綿含有建材調査者
・一般建築物石綿含有建材調査者 ・一戸建て等石綿含有建材調査者 ・法施行開始前に、日本アスベスト調査診断協会に登録していた者 |
解体工事 | ・石綿取扱い作業従事者
・石綿作業主任者 |
なお「アスベストの事前調査」は、法施行前の令和5年10月までは上記の専門資格を持っていない人でも可能です。とはいえ専門技術者の方が信頼できるため、資格保有者がいる業者に依頼することをおすすめします。
また専門家の在籍情報は業者が運営するWebサイトで確認できる場合があるため、問い合わせる前にチェックしてみると良いでしょう。
まとめ
業者による飛散防止対策が徹底されているため、近隣でアスベスト工事が行われている場合に洗濯物を干しても問題ありません。
ただし適切な防止対策が行われていても、アスベストが飛散するリスクがまったくないわけではありません。そのため業者の対策を信じ切るのではなく、「窓を開けない・外出を控える・拭き取りやすい服を着る」など自分自身でできる対策をきちんと行うことも重要です。
また空気中に飛散したアスベストは洗濯物だけでなく、近隣住民の住宅内や車にも影響を及ぼす可能性があります。アスベストの除去作業に慣れていない「建設業者やリフォーム会社」に依頼してしまうと、粉じんに関するクレームが発生する可能性が高くなります。そのため解体のプロである「解体業者」への直接委託がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造家屋・ビル・マンション・店舗内装」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。また当社では丁寧なヒアリングと質問対応を心掛けておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、ホームページ上の「電話・メール・LINE」からお気軽にお問い合わせください。