最近「古民家風の家づくり」や「昭和レトロな家」の人気が高まり、古い家の梁やふすまなどの木材を新築へ再利用するケースが増えています。家の解体を検討している方のなかには、「古い家の木材をおしゃれに再利用できる方法はある?」「そもそも解体工事後の木材はどうなるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、家屋解体後の木材における再利用の義務やおすすめの活用法、注意点について紹介します。解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が初めての方にもわかりやすく責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
解体後の木材を間違った方法で処理した場合には最大「1千万円の罰金」が科されてしまうこともあるため、初めて木材を再利用する方はしっかりと確認しておきましょう。
家の解体工事で出た木材の再利用は義務
家の解体工事で発生する「産業廃棄物」は、「建設リサイクル法」により再利用が義務化されています。木材は産業廃棄物の一つとして含まれるため、大黒柱やふすまなどの大型木材はもちろんのこと、小さな木片等の木くずも再利用しなければなりません。
冒頭でも簡単にお伝えしたように、木材の再利用方法が不適切で不法投棄と見なされた場合には、「5年以下の懲役または1千万円以下の罰金」などの重い刑罰が科せられます。「自分での再利用方法が分からず敷地内に埋めた」という事例も少なくありませんが、基本的に違法行為となるため注意しましょう。
家の解体後の木材再利用法は2通り
建設リサイクル法では、「誰が木材の再利用をするのか」まで定められています。こちらでは「家の解体工事で出た木材の再利用方法」について、以下の2通りを紹介します。
業者が再利用する
家を解体後に出る木材等の産業廃棄物は、それらを排出した解体業者や施主が責任を持って処理しなければなりません。そのため、基本的には業者が解体作業を通じて、柱や木くずなどの木材を収集し再利用します。解体業者が再利用する場合の代表的なリサイクル例は、以下の通りです。
- ・ウッドチップ
- ・木質ペレット
- ・堆肥の原料
- ・木質バイオマス燃料
家を解体した際に発生する木くずは、9割以上が「木質バイオマス燃料」の原料としてリサイクルされます。「木質バイオマス燃料」とは、ウッドチップや木質ペレットなどを含む生物由来の再生可能エネルギー資源です。これをエネルギーとして燃やすときの二酸化炭素排出量が、木の成長過程で吸収され相殺されるため、大気中の二酸化炭素の量に影響を与えない「カーボンニュートラル」な燃料として注目されています。(引用:なぜ木質バイオマスを使うのか|林野庁)
業者を通じて木材を再利用する方法は、環境に配慮されているうえに、建設リサイクルの推進に即した適切な方法といえるでしょう。
自分で再利用する
一方で「施主自身が再利用する」という方法も挙げられます。
特に想い出がつまった木材を新築へ引き継ぎたい方は、自分で再利用する方法がおすすめです。自分で古い家の木材を再利用する場合の方法は、以下を参考にすると良いでしょう。
- ・大黒柱を建材として使う
- ・蔵戸を新築のドアに再利用
- ・天井板のリメイク
- ・梁を玄関の踏み台にリサイクル
後述にて、上記例を含めた「木材の主な再利用方法」と「おすすめの木材再利用方法」について詳細に解説しますので、あわせて確認してみてください。
また新築の規格に合わないといった理由で再利用が難しい木材は、自分でDIYする方法もおすすめです。循環型社会への取り組みを実践できるだけでなく、古い家の想い出も受け継ぐことができる有効な再利用方法といえますね。
家の解体後の主な木材再利用法4つ
古い家の木材は高級な素材が用いられているものも多く、古材として再利用するうえで高い価値を持ちます。こちらでは「家解体後の主な木材再利用方法」について、以下の4つの方法を紹介します。
- 1.古い家の梁
- 2.欄間
- 3.大黒柱
- 4.蔵戸
上記に再利用したい木材がある方や、古民家風の家づくりに興味がある方は、古い木材を新築へ取り入れる際の参考としてご覧ください。
1.古い家の梁
古い家の「梁」は形を変えることなく、そのまま新築の梁として活用できる場合も多くあります。例えば、古い梁を新築の規格に合うように寸法等を加工し、あえて梁を見せることで「古民家風住宅」を実現するといった家づくりが挙げられます。
とはいえ、建物全体を支える梁に対して、古いものを再利用して良いのか不安な方も多いでしょう。実は梁に使用される「ヒノキやマツ」は、年数の経過とともに強さを増していく特徴があります。そのため、新調するよりも再利用する方が強度的に優れていることが多く、むしろ再利用する方が良い場合もあります。
また梁としての再利用が難しい場合には、玄関の踏み台や柱、オブジェなどほかの場所にも再利用可能です。このように古い梁にはさまざまな再利用方法があるため、業者と相談しながら決めると良いでしょう。
2.欄間
「欄間」は、竜の透かし彫りに代表される「高いデザイン性」だけでなく、部屋内の採光や通気性などの「機能性にも優れる」ことから、新築へ再利用される場合が多くあります。例えば再利用事例として、部屋間の仕切りや縁側との境界上などが挙げられます。またガラスをはめ込むことで、テーブルや壁掛け照明、玄関インテリアなど「和モダン調のアイテム」としても再利用可能です。
欄間の再利用を通じて日本特有の繊細な伝統工芸を感じることができ、新築に良いアクセントを与えられるでしょう。
3.大黒柱
古い家の「大黒柱」には梁と同様に頑丈な木材が使われていることが多く、新築での「板材」としての利用価値が高いです。板材として利用できれば、新築工事にかかる「材料費」を節約できるメリットがあります。
また板材としての利用が難しい場合には、大黒柱の一部で「ローテーブル」や「シューズ棚」などの魅力的なインテリアとしても再利用可能です。
少しでも新築住宅や家具のコストを下げたい方は、大黒柱の再利用がおすすめです。
4.蔵戸
「蔵戸」は、江戸時代の商人や武家たちが所有していた「蔵を守るための扉」でした。そのため、けやき等の高級木材が使用され頑丈で厚みがあり、新築の玄関ドアにぴったりです。引き戸から開き戸に変えたり、格子にガラスを付けることで、現代のドアと同様に使用できるようになります。
家づくりにおいて、重厚感や存在感を演出したい方におすすめの再利用方法です。
家の解体後の木材おすすめ再利用法3つ
新築へ直接取り入れることが難しい場合には、家具やオブジェとしての再利用もおすすめです。こちらでは「家の解体後の木材におすすめしたい再利用方法」について、以下の3つを紹介します。
- 1.想い出の柱をオブジェ
- 2.ふすまをレトロ家具に
- 3.天井板リメイク
古い木材を余すことなく再利用したい方や、古い木材のインテリアに興味がある方は、参考にしてみてください。
1.想い出の柱をオブジェに
子どもたちの成長記録が刻まれた柱や、大切な柱がある家も多いことでしょう。想い出がつまった柱は、板材ではなく「オブジェ」として再利用するのがおすすめです。例えば、壁に埋め込んだり、床の間にはめこむなど、柱を見える形で移築すると良いでしょう。
古い家の思い出をなくすことなく、再利用できるおすすめの方法です。
2.ふすまをレトロ家具に
「ふすま」は新しいものを作ろうとすると10万円以上のコストがかかるため、古い家のふすまを再利用するケースも少なくありません。再利用の場合には2〜3万円程度で取り付けられるため、新調するよりも大幅に抑えられるメリットがあります。
また、古い家のふすまは天然素材の「無垢材」が使用されていることが多く、木本来が持つ保温性や吸湿性などの機能により快適な空間が実現できるうえに、見た目からも「味わい深くレトロな雰囲気」を演出できる良さがあります。
3.天井板リメイク
古い家の「天井板」は、状態が良ければ新築の天井板としても再利用できます。例えば、竹の編み込みが独特な「網代天井」や、ヒノキやスギなどの美しい木目が見られる「竿縁天井」の場合には、そのままの形で再利用されることが多いです。
また傷みがや劣化が激しい場合には、ススやホコリなどの汚れを削ぎ落とし、上から漆喰を塗るといったリメイクを施す方法もあります。
家の解体工事から木材再利用までの流れ
実際に「家の解体工事から古い木材を新築に再利用するまでの流れ」について、解体業者へ依頼するケースを想定してまとめましたので、今のうちに確認しておきましょう。
- 1.解体工事開始
- 2.再利用する木材の選定
- 3.木材の加工
- 4.建て替え中の新築へ木材の取り付け
まず見積もりや契約などが完了すれば、順次解体工事が開始され、整地や足組み場の設置が行われていきます。なお解体工事の期間や流れについては、別記事にて詳しく解説していますので参考にしてみてください。
次に新築へ再利用できる木材を選定します。特に梁や柱は強度や耐久性が十分かどうか、プロの視点で厳格に確認されます。
そして次は選定した木材を建て替え場所まで運搬し、新築の規格に合わせて加工する工程です。まず加工する前に水洗いや薬品処理により、木材に付着した汚れを落とします。その後、ひび割れや虫食いが見られる箇所には、接木や埋木などの補修により再利用できる状態へ改修します。新築の規格や再利用方法に合わせて、カットや塗装などの加工により仕上げられます。
最後に、加工された木材を所定の場所へ取り付けができれば再利用完了です。取り付けの工程は、解体業者ではなく建築業者へ引き継がれます。
また解体工事が開始される前には、一般的に業者との話し合いが設けられます。そのため、初めの話し合いの段階で、「どの木材を再利用したいのか」や「新築へどのように取り入れたいか」を決めておくと、上記の工程がスムーズです。
家屋解体後の木材を再利用する際の注意点3つ
木材を再利用するうえで建設リサイクル法に従って処理する以外にも、注意事項がいくつかあります。こちらでは「家屋解体後の木材を再利用する際の注意点」について、以下の3つを紹介します。
- 1.新調するよりも費用がかかるケースもある
- 2.再利用できない木材もある
- 3.木材の再利用が得意な業者を選ぶ
解体後の木材を初めて再利用する方が注意すべき内容をピックアップしてまとめていますので、一つずつ確認してみてください。
1.新調するよりも費用がかかるケースもある
一見、新調する際の材料費や購入費が抑えられお得に思えますが、場合によっては余分に費用がかかる可能性もあります。なぜならば、再利用するうえで木材を傷つけないために、通常の解体よりも丁寧な作業が必要だからです。そのため、熟練した解体専門業者に依頼するための「人件費」が上乗せされます。また古い家と新築の規格が異なる場合には、新築に合わせて接木等の加工が必要であるため、「加工費」分の追加料金もかかります。
新調する場合には必要にならない費用もかかるため、トータルすると割高になることもしばしばです。そのため費用を抑えるために再利用をしたい方は、コスト面も含めて業者に相談すると良いでしょう。
2.再利用できない木材もある
築年数が古い家の木材は、再利用できない場合もあります。例えばシロアリを原因とする虫食いがある大黒柱や、湿気による劣化が激しい梁は再利用ができません。また築年数が浅い家の梁や、戦後の住宅に用いられる「新建材」は強度が低いため、業者に再利用を反対されるケースもあります。
ただし家の材料としては不適切な木材でも、インテリアとして利用できる場合もあるので、業者に相談してみると良いでしょう。
3.木材の再利用が得意な業者を選ぶ
すべての解体業者が、古い家における木材の再利用に対応できるわけではありません。そのため、業者のWebサイトにある「施工事例」や「スタッフブログ」などを参考に、木材の再利用ができる業者かどうかを判断すると良いでしょう。具体的には、過去に古民家を解体した内容や、古い家によくある「無垢材」の施工実績があるかどうかが、業者選びの基準として挙げられます。
木材の再利用が不得意な業者では、本来であれば再利用できるはずの木材も断られてしまうケースもあり、後悔することになります。後述にて「おすすめの業者」について紹介しますので、あわせて確認してみてください。
家の解体から木材再利用までトータルで依頼するなら解体業者がおすすめ
家の解体工事から木材の再利用まで、トータルで依頼するのであれば「解体業者」がおすすめです。
もちろん、リフォーム会社や建設会社、工務店など、さまざまな業者を通じて解体工事や木材の再利用ができます。ただし、解体業者以外では解体の過程で木材を傷つけてしまう場合や、解体用の重機や設備がそろっておらず木材を取り出せない場合も少なくありません。
一方で解体工事のプロである「解体業者」に依頼することで、再利用する木材を傷つけることなく取り出すことができます。「想い出がつまった木材を壊されてしまった」ということを避けるためにも、解体技術のプロである「解体業者」に依頼することをおすすめします。
まとめ
家屋解体後の木材再利用は、建設リサイクル法により義務となっています。そのため、基本的には業者が燃料やウッドチップにリサイクルをします。一方で想い出を引き継ぐために、自分自身で古い家の柱等を再利用する方法もおすすめです。
また木材を再利用するためには、家屋解体の工程で傷をつけないように慎重に取り出す必要があります。そのため、「建設業者やリフォーム会社」など解体が専門ではない業者に依頼するのではなく、高度な解体技術を持つ「解体業者」に依頼すると安心です。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域の木造住宅解体工事を承っており、現在に至るまで豊富な解体実績を有しています。お見積もりは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。