解体工事では専用の免許が必要になるケースがあります。とはいえ解体工事に馴染みがない人のなかには、「個人で解体するときにもいるの?」「どの免許がいるのかわからない」などと、免許について疑問がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、解体関連の許可・登録の種類や必要になる作業例、解体免許関連の注意点について紹介します。
解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が初めての方にもわかりやすく情報をまとめて責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
解体を行う事業者と作業員には免許が必要
解体工事を行う「事業者と作業員」には、それぞれ専用の免許や資格が必要です。
高度な操作テクニックを必要とする重機を安全に使えるように、「建設業法」等の法律により義務付けられています。
そのため解体を依頼する場合には、関連資格を保有している業者かどうかチェックするようにしましょう。また自分で家を解体する際にも、免許が必要になる場合があります。
まずは「解体を行う事業者に必要な許可と登録」を紹介します。
どのような解体事業を営む業者が保有しているのか、それぞれチェックしてみましょう。
解体工事業登録
「解体工事業登録」とは、建設リサイクル法により定められた、解体工事業を営む業者に必要な登録制度のことです。直接解体を行う「下請業者」だけでなく、施主から仕事を受ける「元請業者」も登録しなければなりません。
登録先は、解体工事を請け負う区域と施工する区域を管轄する「都道府県知事」です。例えば、業者の営業所が「東京都」にある場合でも、神奈川県内で解体工事を施工するのであれば、神奈川県での登録も必要です。
また登録業者は、「500万円未満」の解体工事しか実施できません。
「500万円以上」の解体工事には、後述する「建設業許可」が必要となります。許可の種類で業者が請け負える金額が決まっているため、依頼する際には注意しましょう。
建設業許可
「建設業許可」とは、建設業法で定められた、建設工事を請け負うための許可のことです。建設業許可は業者によって、「許可を受ける先」と「許可の種類」が異なります。
まず許可を受ける先は、「国土交通大臣と知事」の2種類で、営業所の数と場所によって受けるべき許可先が決まります。両者の違いは以下の通りです。
- ・国土交通大臣許可:2ヵ所以上の都道府県に営業所を設けて解体業を営む場合
- ・知事許可:1ヵ所の都道府県の営業所で解体業を営む場合
また許可の種類は、「特定建設業と一般建設業」の2種類があり、下請け金額の大きさによって必要になる許可が異なります。それぞれの違いは以下の通りです。
- ・特定建設業許可:施主から直接請け負った1件の工事代金において、4,500万円以上の下請け契約を行う場合
- ・一般建設業許可:特定建設業許可が必要になるケース以外の工事を請け負う場合
大林組や大成建設のような大手解体業者は複数のエリアで仕事を請け負い、かつ下請金額も大きくなる傾向にあるため、「国土交通大臣許可・特定建設業許可」を取得しているケースが一般的です。一方で中・小規模の解体業者の多くが、「知事許可・一般建設業許可」を保有しています。
工事の内容によって適切な許可が必要となるため、依頼する際には自分の解体ケースに必要な許可を保有している業者かどうかを確認すると良いでしょう。
産業廃棄物収集運搬業許可
「産業廃棄物収集運搬業許可」とは、委託を受けて産業廃棄物の収集・運搬を行う際に必要となる許可のことです。他業者が出した産業廃棄物を委託を受けて運搬する際に、必要になります。
一方で施主から直接契約した業者が自主運搬する場合には、その業者が許可を持っている必要はありません。そのため新築建て替えの際に工務店等に解体工事を依頼する場合には、元請けの委託先の解体業者が産業廃棄物収集運搬業許可を持っているかどうかをチェックすると良いでしょう。
個人でも必要!免許・資格がいる解体作業例
解体工事を安全に進めるうえで、重機の種類や作業内容ごとに必要な免許が細かく決められています。こちらでは「免許や資格がいる解体作業例」を紹介します。
また「それぞれの作業で持つべき免許や、どのような立場の人が取得すべきか」についても簡単に解説するので、自分で解体する方は参考にしてみてください。
足場の設置作業
足場の設置作業では作業者と指揮者それぞれに資格の取得が義務付けられています。高い場所での安全を確保するために、適切な部材の判断ができて、設置基準に合致した足場を組み立てられる人材が必要になるからです。
まず足場の組み立てを行う作業者は、「足場の組み立て等作業従事者特別教育」を受ける必要があります。また高さ5メートル以上の足場の設置作業時は、「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した人が指揮する必要があります。
個人の場合にも足場を設置するのであれば、特別教育を受講するようにしましょう。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の解体工事
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の解体工事では、作業者と指揮者それぞれが専用の資格を取得する必要があります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の解体現場で必要となるのが、「ガス溶接技能者」の資格です。鉄骨を切断する「ガス切断工法」で解体を行う際に必要となります。
また高さが5メートル以上あるコンクリート造の工作物の解体作業を行う場合には、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の配置が労働安全衛生法により定められています。鉄骨造等は頑丈であるため作業員の大きな事故が発生しやすく、専門的な知識を持った指揮者が必要となるからです。
ブルドーザーなどの車両系建設機械(整地・運搬・積込・掘削用)を使う作業
ブルドーザーやパワーショベル、バケット掘削機、コンクリートポンプ車など、「整地や運搬用などの車両系建設機械」を使う作業にも免許が必要です。
また免許が必要な車両にもかかわらず、無免許で行った場合には、作業者に対して「50万円以下の罰金」が科せられます。そのため掘削や整地のために、個人的に専用車両を利用する際にも、免許を取得してから行いましょう。
油圧ショベルなどの車両系建設機械(解体用)を使う作業
油圧ショベルやコンクリート圧縮機など、「解体作業用の車両系建設機械」を使う場合にも免許が要ります。車両系建設機械の免許は、解体用と整地用で受講しなければならない特別講習が異なるため気を付けましょう。
また整地用車両に同じく、私有地で使用する場合にも無免許であれば「50万円以下の罰金」が科されるため注意してください。
公道を利用した搬入・搬出
車両系建設機械の資格を保有していても、ユニック車等の専用車両で公道を走る場合には「運転免許」が必要です。「積載量と車両総重量」によって必要になる運転免許の区分が異なるため、取得する際には間違えないようにしましょう。
アスベストの撤去工事
アスベストの撤去工事では、作業者と指揮者それぞれが専用の資格を取得する必要があります。
作業者には「石綿取扱作業従事者」の資格取得が義務付けられており、「石綿作業主任者」を取得した指揮者の配置も必要です。
アスベストを含む建築物の解体・改修工事は、「危険又は有害な作業」に指定されているため、個人の場合にも「石綿取扱作業従事者」の資格が必要です。そのため自分でアスベスト含有建材を撤去する際には、石綿取扱作業従事者の特別教育を受けて資格を取得するようにしましょう。
クレーン車の運転業務
つり上げ荷重5トン未満のクレーン等は、「クレーン運転士」の試験合格者でなければ操作できません。
また、つり上げ荷重1トン以上のクレーンや移動式クレーンなどの「玉掛け作業」においては、別途「玉掛け技能講習」を修了し専用の資格が必要です。
解体業者が建設業許可を受ける流れ
先述した「解体工事業登録」と「建設業許可」を取得するためには、それぞれ一定基準を満たす人材を選任する必要があります。
解体工事業登録においては専任技術者の配置のみで良いため、比較的簡単に取得できます。一方で建設業許可は専任技術者に加え、経営管理の責任者の選任も必要です。そのため許可取得には経営・技術ともに高いスキルを持つ人材が必要で、人材面でのハードルが解体工事業登録よりも高いことから、許可業者の方がより信頼できる業者といえます。
では「業者が建設業許可を受ける流れ」を紹介します。手順を見ながら、建設業許可を受けている業者がどのような点で信頼できるといえるのか、確認してみてくださいね。
経営業務の管理責任者の選任
建設業の許可を受けるためには、専任の技術者だけでなく経営業務に従事する「管理責任者」の専任も必要です。
管理責任者は誰でもなれるわけではなく、「建設業にて5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」といったように、一定の経営の経験がなければ経営上の責任者にはなれません。
本人や営業所長が管理責任者になり得ない場合には、新たに雇用する必要があります。
専任技術者の雇用
建設業の許可を受けるためには、「専任技術者」と呼ばれる人材を雇用している必要があります。専任技術者になるためには、以下のように許可の種類ごとに要件が存在します。
許可の種類 | 専任技術者になれる要件 |
一般建設業許可 | ・1級/2級建築施工管理技士やとび/とび工などの国家資格を保有
・高校卒業後5年以上もしくは大卒後3年以上の実務の経験を有する ・10年以上の実務経験がある |
特定建設業許可 | ・1級建築施工管理技士等の国家資格を保有
・一般建設業許可のいずれかの要件を満たし、かつ2年以上の指導監督経験がある |
いずれの許可においても、高度な知識と十分な実務経験を持つ必要があります。許可を取得する営業所ごとに、専任技術者を雇用します。
社会保険の加入
人材の雇用に加えて、「社会保険の加入」も行います。2020年10月の法改正により、建設業許可の要件に加わりました。建設業で求められる社会保険は「健康保険・厚生年金保険・雇用保険」の3つで、それぞれ加入します。
解体工事を行う都道府県へ申請
納税証明書等の必要書類の準備ができ次第、各自治体へ申請手続きを行います。
申請後は「1ヵ月以上」にわたる厳正なチェックが行われ、問題がなければ「許可通知書」が申請者の元へ届き、晴れて許可業者の仲間入りです!
以上のように解体業者が建設業許可を受けるためには、「適切な人材・保険・申請手続き」を満たす必要があるため、信頼性が高い許可といえます。
免許のあり・なしで見きわめる解体業者
きちんと解体事業許可を取得している業者や重機に必要な免許を保有している業者は、「信頼性が高い解体業者」といえます。
一方で免許が必要な解体工事にもかかわらず、免許を取得していない業者は注意が必要です。実際のところ無免許の人が作業を行い、大きな事故に発展してしまったケースも少なくありません。
そのため「解体工事関連の免許や資格をきちんと取得しているかどうか」は、優良な解体業者の基準の一つといえます。
【家の解体前にチェック!】免許関連の注意点2つ
解体をスムーズに進めるうえでは、施主側も注意すべきことがあります。こちらでは「解体の免許関連の注意点」を紹介します。いずれの注意事項も法律に関わる重要なことなので、解体前には必ずチェックしておきましょう。
1.都道府県・業者のホームページで免許の有無を確認する
建設業許可や登録が済んでいる解体業者かどうかは、「各都道府県の整備局や業者が運営するホームページ」で確認できます。例えば「大林組」の会社概要では、以下のように「許可の種類・年月日」が記載されています。
- ・建設業許可
- ・【許可番号】国土交通大臣許可(特-1)第3000号
- ・【許可年月日】2020(令和2)年1月29日
また「東京都都市整備局」のように各都道府県の整備局サイトでは、許可・登録業者の一覧を確認することができます。建物の解体工事を依頼する際には、業者のWebサイト上で保有している免許の種類をチェックすると良いでしょう。
2.自分で解体する時も免許が必要なケースがある
DIY等で自分で家や付帯物を解体するときも、解体関連の免許が必要なケースがあるため注意してください。例えば「ブレーカー」と呼ばれる重機を使用する場合には、車両系建設機械の資格が必要です。
資格を取得するためには実務経験等を必要する場合もあり、時間や手間がかかるため、解体業者に任せることをおすすめします。
関連記事:家の解体は自分でもできる?必要な手続きや費用を徹底解説!
信頼できる解体工事は「解体業者」に直接委託がおすすめ
信頼できる解体工事は、「解体業者」に直接委託するのがおすすめです。
もちろん、ハウスメーカーや不動産会社、リフォーム会社など、ほかの業者にも解体工事を依頼することは可能です。とはいえ、解体が専門でない業者は工事を解体業者に下請けしているためコミュニケーションを取る機会が少なく、免許関連のトラブルが発生する可能性も。
一方で解体業者であれば、必要な資格や免許について詳しく把握しているため、安心して任せられます。そのためスムーズに解体工事を進めてもらうためにも、自宅や実家を撤去する際は解体業者に依頼すると良いでしょう。
関連記事:家の解体業者の損しない選び方!トラブルを避ける方法も解説
まとめ
解体工事では、免許や資格が必要です。例えば、足場の設置作業や解体用の重機を使用する場合には、専用の資格を取得する必要があります。
また解体工事の免許関連のトラブルを回避するためには、解体のプロである「解体業者」への直接委託がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「空き家物件・木造家屋・マンション・アパート・店舗内装」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。また当社では丁寧なサービス対応や近所間のトラブル対策を心がけておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、当社ホームページ上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。