自宅や実家の解体工事を安全に進めるうえで、足場の設置は必須です。とはいえ解体工事に馴染みがない人のなかには、「どんな足場がいるの?」「いくらくらい費用がかかる?」などと、足場に関して疑問がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、解体工事で使われる足場の種類や費用相場、注意点について紹介します。解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が初めての方にもわかりやすく情報をまとめて責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
足場なしの解体工事は違法性が高い
家やビルの解体工事で、足場が設置されていない場合は違法性が高いといえます。労働安全衛生規則にて「高さが2メートル以上の場所で作業をする場合には、足場等により作業床を設置しなければならない」と、明記されているからです。
そのため依頼した業者が足場を設置していない場合には、速やかに自治体や消費者センターへ問い合わせると良いでしょう。
なお足場の設置費用を安くするために、施主自ら足場の設置を拒絶する場合にも違法となる可能性があります。また拒絶した場合に事故が起きると、施主側に損害賠償金の請求がくる可能性も。想定外の訴訟トラブルにより大きく損をしないためにも、足場は設置して作業してもらうようにしましょう。
解体工事で使われる足場の種類
解体工事の足場は、建物の構造や立地条件などにより異なります。こちらでは「解体工事で使われる足場の種類」について、以下の5つを紹介します。
- ・単管足場
- ・クサビ式足場
- ・枠組み足場
- ・IQ足場
- ・特殊足場
それぞれのメリットや使用される現場なども解説するので、自分の解体施工ケースで使われる足場をチェックする際の参考にしてみてください。
単管足場
「単管足場」とは、鉄パイプのような単管と、つなぎ止め金具であるクランプを組み合わせて作られる足場のことです。
ホームセンターでも購入できるようなシンプルな足場材で構成されるため、組み立てが簡単でDIY時に作りやすいメリットがあります。
また柔軟に形状を変えられるため、狭いスペースにある建物の改修工事などの足場の設置が難しいケースで使用される一方で、高層ビルなどの解体工事には安全面から利用されることはあまりありません。
クサビ式足場
「クサビ式足場」とは、一定間隔に緊結部がある鉄パイプを支柱とし、その緊結部に手すりなどを金具のクサビで緊結して組み立てる足場のことです。
ハンマーだけで作ることができるため組み立てが簡単で、短い時間で解体工事を済ませられるメリットがあります。クサビ式足場は、中低層の建築工事や解体工事で利用されます。
枠組み足場
「枠組足場」とは、鋼管を門型に溶接された建枠にジャッキベース・交差筋違・鋼製布板などの基本部材を組合わせ、積上げて構成する足場のことです。
複数の部材を使って組み立てる分、ほかの足場と比較して強度があります。そのためビルや病院など、大きな建築物の外壁で使われることが一般的です。
IQ足場
「IQ足場」は次世代型の足場の1つで、フランジに横から差し込んで取り付けることで簡単に設置できる足場です。
一層の高さが190ミリメートルと高く、成人男性が屈むことなく作業できるメリットがあります。一般住宅から商業施設、工場など、さまざまな解体現場で活用され始めています。
特殊足場
「特殊足場」とは、道路上に足場を組み立てるのが難しい場合に設置される足場のことです。例えば、エレベーターのように上下に動く作業床を設置するタイプの「移動昇降式足場」や、建物の上部からチェーンなどで足場板を吊り上げて設置するタイプの「吊り足場」など、さまざまな種類があります。
一般住宅の解体工事に使われることはほとんどなく、橋梁やダムの大規模工事でよく利用されています。
解体工事の足場にかかる費用相場
解体工事の足場にかかる費用は、「1平方メートルあたり700~1,000円」が相場です。そのため一般的な木造戸建て住宅の場合には、総額で「10〜20万円」は足場にかかります。
ただし近隣住宅との距離が近い場合や平屋など、建物の立地条件や種類によっては、相場よりも高くなるケースがあります。特別な足場を組み立てる必要があったり、足場の設置面積が広くなったりするからです。
なお足場代は、「仮設養生費」に含まれることが一般的です。仮設養生費の内訳を見て、足場代が相場から離れすぎていないか確認するようにしましょう。
関連記事:家屋解体工事の見積もりの内訳は?費用相場や安く抑えるコツも
【解体工事前にチェック!】足場設置作業に必要な資格・許可
足場を組み立てる作業は危険をともなうため、作業者には専用の資格取得が義務付けられています。足場の設置作業・使用時には、以下の資格や許可が必要です。
- ・道路使用許可・道路占用許可
- ・足場の組み立て等作業従事者特別教育資格
- ・フルハーネス型安全帯使用作業特別教育
個人で作業をする場合にも必要となるため、足場関連の作業をする予定の方はチェックしてみてください。
道路使用許可・道路占用許可
解体工事にともない足場を設置する際には、「道路使用許可」もしくは「道路占用許可」が必要です。それぞれの違いを以下の表にまとめました。
許可名 | 概要 |
道路使用許可 | 敷地内で足場を組み立てる際に必要な許可 |
道路占用許可 | 道路上へ足場の組み立てが必要な場合に申請する許可 |
上記の表にあるように、敷地内で足場がおさまるかどうかによって必要な許可が異なります。
またそれぞれの許可申請は、基本的に業者が行います。不安な場合には、自分の解体ケースに必要な許可内容が合っているかどうか一度聞いてみると良いでしょう。
足場の組み立て等作業従事者特別教育資格
「足場の組み立て等作業従事者特別教育資格」は、足場の組み立て・解体をする作業者に義務付けられている資格です。特別教育と呼ばれる講習を受講することで、一般の方でも資格を得ることができます。
解体業者だけでなく、個人で足場関連の作業をする場合にも必要なので、作業前には必ず特別教育を受けるようにしましょう。
フルハーネス型安全帯使用作業特別教育
「フルハーネス型墜落制止用器具取扱特別教育」とは、以下のような危険性が高い作業をする人に義務付けられた資格です。
- ・高さが2メートル以上の作業場所において、作業床を設けることができないところ
- ・作業床はあるが、墜落の危険があるところ
一般的な住宅の解体の場合には、足場を設置できるためフルハーネス用の資格取得は不要なケースが大半です。
解体工事の足場トラブル事例
足場の設置・解体時には、大きな事故が発生する傾向があります。こちらでは「解体工事の足場トラブル事例」について、以下の3つを紹介します。
- ・騒音トラブル
- ・破損事故
- ・通行人を巻き込む事故
人を巻き込む事故が発生してしまった場合には、施主側の責任が問われるケースもあるので注意が必要です。トラブルを起こすことなく安全に解体工事を進めるためにも、それぞれチェックしておきましょう。
騒音トラブル
足場は金属製のパイプを組み立てていく作業があるため、設置の際にはハンマーで打ち付ける音が周囲に響き渡ってしまいます。そのため近所から、騒音に関するクレームが入るケースも少なくありません。
養生シートが適切に設置されていない状態で、近所とのトラブルが発生した場合には施主側の責任が問われる可能性もあります。そのためトラブルに巻き込まれないためにも、業者が防音効果が高い養生シートを使っているかどうかチェックすると良いでしょう。
破損事故
足場を設置する際に踏み板を持ちながら移動した作業員が隣家の壁を傷つけてしまう事故や、資材や工具を持ち運ぶ際に屋根を壊してしまうなどの破損事故が多く発生しています。
業者の過失で起きた事故に対しては、業者が加入する保険が適用されます。とはいえ、破損事故を無視していると賠償金を請求されてしまうリスクもあるため、近隣住民から破損の報告があった場合には速やかに業者に相談するようにしましょう。
通行人を巻き込む事故
突風や地震などの影響で足場が崩れてしまい、工事現場近くを歩いていた通行人を巻き込む事故も発生することがあります。
足場が崩壊し通行の妨げになっているのを見つけた場合には、クレームが発生しないように、速やかに業者に報告すると良いでしょう。
解体工事の足場トラブルを避けるための注意点4つ
先述したトラブル事例を踏まえて、「解体工事の足場トラブルを避けるための注意点」について、以下の5つを紹介します。
- 1.複数の業者に見積もりを依頼する
- 2.近隣住民へ挨拶をする
- 3.足場の設置費が無料の見積書には注意
- 4.依頼する業者が保険に加入しているかチェック
- 5.個人で解体作業をするときにも足場を設置する
足場関連の金銭トラブルや事故を避けるためには、何ができるかを今のうちに確認しておきましょう。
1.複数の業者に見積もりを依頼する
足場の組み立て・解体にかかる費用を少しでも安くしたい場合には、複数の業者に見積もりを依頼すると良いでしょう。足場作業に熟練した職人の有無や専用資材・設置用の重機を所有しているかどうかによって、業者が提示してくる金額が大きく変わるからです。
相対的に見積もりを比較して、1番納得がいく業者に依頼することをおすすめします。
2.近隣住民へ挨拶をする
足場を設置する際の金属をハンマーで打ち付ける音や足場材を床に置くときの音は、想像しているよりも周囲に届いてしまいます。
そのため足場設置にともなう騒音トラブルを避けるためにも、解体工事前に近隣住民へ挨拶を済ませておくと良いでしょう。工事で迷惑をかける旨を伝えておけば、クレームを減らせる可能性があります。
個人で挨拶をするのが不安な場合には、業者に同行してもらえないか相談することをおすすめします。
関連記事:家の解体工事前の挨拶に粗品は必要?失敗しない7つの品物を紹介!
3.足場の設置費が無料の見積書には注意
業者のなかには、足場の設置費用を「無料」で見積もりを提示してくる業者もいます。しかしながら足場の設置が必要でないケースは非常に稀で、足場費用がかからないケースはほぼありません。
そのため足場の設置費用の記載がない見積書は悪質な業者の可能性が高いため、だまされないように注意しましょう。
4.依頼する業者が保険に加入しているかチェック
解体工事を依頼する際には、業者が「請負業者賠償責任保険」に加入しているかチェックすると良いでしょう。請負業者賠償責任保険とは、解体工事中に起きた対人・対物事故の際にかかる損害賠償金を補償してくれる保険のことです。
足場の設置や解体にともない、通行人に怪我を負わせてしまったり、近隣住民の外壁を傷つけてしまったりした場合に、保険金を支払ってもらえます。施主に対して賠償金が請求されるケースもあるため、依頼する業者が保険に加入しているか確認しておくと安心です。
5.個人で解体作業をするときにも足場を設置する
高さが2メートル未満の建物の解体工事や、脚立を使って作業ができる撤去工事以外は、足場での作業が義務付けられています。
そのため個人でDIYなどで自宅の一部を解体する場合にも、基本的には足場の設置が必要です。必要であるケースにもかかわらず、足場を設置しない場合には事故が発生するリスクが上がるだけでなく、違法になる可能性もあります。個人で解体をする際に心配な場合には、解体業者に相談することをおすすめします。
足場の解体・組み立ては「解体屋」に直接委託がおすすめ
足場設置には専門的な資格が必要で、判断力や技術が必要です。そのため自宅や実家の解体工事を行う場合の足場関連の作業は、解体のプロに直接委託するようにしましょう。
もちろん、ハウスメーカーや工務店、不動産会社など、他業者にも足場の設置は依頼可能です。とはいえエクステリア工事会社などの解体専門でない会社は足場の違いを詳しくないため、柔軟に対応してもらえない可能性があります。また新築建て替えの際に工務店に解体を任せてしまうと、下請けの解体業者とコミュニケーションを取る機会がなく、足場のトラブル時に相談ができない可能性も。
一方で解体業者は実際に足場の組み立てや解体作業を行っているため、足場にも詳しく丁寧に相談に乗ってくれます。そのため足場や仮設関連のトラブルや疑問で悩むことにならないためにも、解体業者へ直接委託することをおすすめします。
関連記事:家の解体業者の損しない選び方!トラブルを避ける方法も解説
まとめ
解体工事では建物の構造や高さに合わせて、適切な足場を設置する必要があります。足場の設置が不十分な場合には、隣人や通行人を巻き込む事故が発生してしまうケースもあります。
そのため足場に関するトラブルを防ぎスムーズに解体を進めてもらうためにも、解体に関する経験と知識が豊富な「解体業者」への直接委託がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「空き家物件・木造建築・マンション・アパート・店舗内装」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。また当社では丁寧なサービス対応や近所間のトラブル対策を心がけておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、当社ホームページ上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。