株式会社上池解体興業(ボッコス)

親が亡くなった家の解体手続き|相続登記・費用・補助金・トラブル回避を徹底解説

親が亡くなった家の解体手続き|相続登記・必要書類・費用・補助金・トラブル回避まで徹底解説

親が亡くなった後に残された「実家」をどうするか――。
相続人にとって大きな悩みの一つです。相続して住むのか、売却するのか、賃貸に出すのか、あるいは解体して更地にするのか。選択肢は複数ありますが、いずれにせよ相続登記や遺産分割協議、解体工事に伴う各種手続きが避けて通れません。

特に老朽化した木造住宅や空き家をそのままにしておくと、固定資産税の負担増・近隣からのクレーム・倒壊や火災リスクといった問題に直面する可能性があります。

本記事では、親が亡くなった後に家を解体する際に必要な流れや手続きを網羅的に解説。
さらに最新の法律・税制・補助金制度や、実際によくあるトラブル事例と回避策、心理的な負担を減らす工夫まで幅広く取り上げます。

「まず何をすればいいのか分からない」という方も、この記事を読みながら一つずつ進めていけば、後悔のない判断ができるようになります。

親の家を解体する前に必ず確認すべきこと

解体工事は「相続手続き」が済んでいなければ進められません。
まずは以下のチェックリストで、ご自身の状況を整理してみてください。

確認項目 状態 対応の必要性
登記簿上の所有者 親のまま 相続登記が必要
相続人の人数 把握できていない 戸籍収集で確定させる必要あり
遺産分割協議 未実施 協議書を作成し全員合意を得る
相続人の同意 一部が反対 協議や調停を経ないと解体不可
ライフライン まだ契約中 停止・撤去手続きが必要

この表の赤字に当てはまる部分があれば、まずは相続・名義変更から着手しなければなりません。
「解体業者にすぐ依頼できる」と思っても、法的には契約が成立せず、工事が進まないケースが非常に多いのです。

相続登記と解体の関係

解体工事を発注するには、登記上の所有者と契約者が一致していなければなりません。
亡くなった親の名義のままでは、解体業者や自治体は受け付けてくれません。そのため、相続登記が解体手続きの第一歩です。

2024年4月から相続登記は義務化され、3年以内に登記を行わないと過料(罰金)の対象となりました。放置はできません。

◆ 相続登記の流れ

  1. 相続人を確定(戸籍謄本を収集)
  2. 相続財産を調査(不動産・預金など)
  3. 遺産分割協議を実施(全員の署名・実印・印鑑証明)
  4. 司法書士を通じて相続登記を申請
  5. 法務局で新しい登記事項証明書を取得

相続登記には数週間〜数ヶ月かかる場合があります。特に相続人が多い場合や疎遠な親族がいる場合は時間がかかるため、解体を急ぐ場合は早めに司法書士へ相談しましょう。

なお、どうしても登記が間に合わない場合には、一時的に「相続人全員の同意書」を提出して解体を進められるケースもあります。ただしこれはイレギュラーな対応であり、後々のトラブルを避けるためにも正式な相続登記を完了させることが望ましいです。

解体に必要な同意と書類

親が亡くなった家を解体するには、相続人全員の同意が必須です。
1人でも反対する相続人がいれば、原則として工事は進められません。のちのトラブルを防ぐためにも、協議内容を遺産分割協議書として書面に残すことが大切です。

◆ 解体に必要となる主な書類一覧

誰がどの手続きを担当するかを明確にしておくことも重要です。
司法書士、解体業者、施主自身が分担するイメージを以下に整理しました。

手続き 主な担当者 備考
相続登記 司法書士 相続人全員の書類が必要
遺産分割協議書 相続人+司法書士 全員の実印と印鑑証明
解体工事届 解体業者 建設リサイクル法に基づき提出
ライフライン停止 施主 契約者本人でないと手続き不可な場合あり
建物滅失登記 司法書士または施主 解体完了後1か月以内に法務局へ提出

このように「施主の仕事」「業者に任せられる仕事」を切り分けることで、スムーズに進めることができます。

解体手続きの流れ(時系列)

ここでは、親が亡くなった家を解体するまでの流れを時系列で整理します。実際にやるべきことが多いため、一覧で確認するのがおすすめです。

  1. 相続登記・遺産分割協議を完了
    相続人を確定し、遺産分割協議書を作成。司法書士を通じて相続登記を行う。
  2. 相続人全員の同意を取得
    書面で残すことで後々のトラブルを防止。
  3. 解体業者に見積もり依頼
    最低でも3社は相見積もりを取り、金額・説明の丁寧さ・近隣対応の姿勢を比較。
  4. 行政手続き(解体工事届など)
    延床80㎡以上の建物は建設リサイクル法に基づく解体工事届が必要。
  5. ライフライン停止・近隣挨拶
    電気・ガス・水道・通信回線の停止手続き。工事前に近隣住民へ挨拶を行う。
  6. 解体工事
    養生設置→解体作業→廃材処分→整地。
  7. 建物滅失登記
    解体完了から1か月以内に法務局で手続きを行わないと、翌年度も固定資産税が課税される恐れがある。

特に「滅失登記」を忘れると、不要な税負担が発生します。
解体業者によっては滅失登記に必要な「取壊証明書」や「解体証明書」を発行してくれるため、契約前に確認しておくと安心です。

解体費用と負担の考え方

親の家を解体する場合、最も気になるのが費用です。
費用は建物の構造・規模・立地条件・残置物の有無などによって大きく変動します。

◆ 解体費用の目安(東京・首都圏の場合)

建物構造 坪単価 30坪の費用目安 特徴
木造 3〜5万円 90万〜150万円 一般的な戸建て。最も依頼が多い
鉄骨造 5〜7万円 150万〜210万円 小規模ビルや倉庫に多い
RC造 6〜9万円 180万〜270万円 マンション・アパートなど。処分費が高い

この他に、以下のような追加費用がかかることがあります。

したがって「坪単価×坪数」だけで計算すると大きな誤差が出ます。必ず現地調査を伴う見積もりを取りましょう。

◆ 費用の負担方法

なお、解体費用は相続税の控除対象にはなりませんが、土地を売却する際の譲渡所得税計算では控除できる場合があります。
また、多くの自治体で空き家解体補助金が用意されており、東京都では上限50万〜100万円の補助金が交付される区もあります。制度の有無は必ず確認しましょう。

よくあるトラブルと回避策

親が亡くなった後の家の解体は、相続人同士の関係や費用面でトラブルが発生しやすいのが特徴です。
ここでは代表的なトラブル事例と、その回避策を紹介します。

◆ 相続人間の意見不一致

兄弟姉妹の一部が「家を残したい」と主張し、解体に合意しないケースがあります。
→ 解決策:遺産分割協議で合意できない場合は、家庭裁判所の調停を利用する必要があります。早めに司法書士や弁護士へ相談しましょう。

◆ 滅失登記の未提出

解体後に建物滅失登記を出し忘れ、翌年度も固定資産税が課税されるトラブル。
→ 解決策:解体完了から1か月以内に法務局で必ず提出。業者から「取壊証明書」を受け取っておきましょう。

◆ 解体費用の想定外の増額

残置物やアスベスト、地中埋設物の存在により、数十万円〜百万円単位で追加費用が発生。
→ 解決策:見積もり時に「含まれる費用・含まれない費用」を書面で確認すること。契約書に「追加費用条件」を明記してもらいましょう。

◆ 近隣トラブル

騒音や粉じん、振動で近隣住民からクレームが発生。場合によっては工事中止や損害賠償請求に発展。
→ 解決策:近隣挨拶を事前に実施し、防音シート・散水・清掃などの配慮を徹底している業者を選びましょう。

◆ 悪質な業者によるトラブル

契約後に高額な追加請求をしてきたり、近隣対応を怠る業者も存在します。
→ 解決策:建設業許可・産廃収集運搬業許可を持ち、実績や口コミを公開している業者を選びましょう。

このように、事前に想定できるリスクを把握し、契約時に条件を明確化しておくことがトラブル回避の最大のポイントです。

補助金制度を活用して費用を軽減

親が亡くなった家を解体する際、自治体によっては補助金制度を利用できる場合があります。
「老朽危険家屋対策」や「空き家対策」を目的とした制度で、条件を満たせば数十万円の補助を受けられる可能性があります。

◆ 東京都内の補助金例

◆ 首都圏近郊の補助金例

ただし、補助金には以下のような注意点があります。

補助金を利用できるかどうかは自治体の担当部署に確認が必要です。解体業者が申請を代行してくれる場合もあるため、契約前に必ず確認しましょう。

解体と税金の関係

解体工事は税金面でも影響があります。代表的なポイントを整理しました。

つまり、「すぐに解体して売却する」か「一定期間維持する」かによって税金面のメリット・デメリットが変わります。
税理士や不動産会社と相談し、最も有利な選択を検討することが大切です。

ケーススタディ|親の家を解体した実例

ここからは実際に「親が亡くなった家を解体した」ケースを紹介します。具体的なシナリオを知ることで、自分の状況に置き換えやすくなります。

◆ ケース1:兄弟3人で意見が割れた事例

長男は「更地にして売却」、次男は「貸家として残したい」、長女は「思い出があるので残したい」と意見が分かれ、協議が難航。最終的に家庭裁判所の調停を利用し、売却して代金を分割することで合意。
→ 教訓:相続人全員の同意が得られない場合、時間と労力が大きくかかるため、早めに第三者を交えることが有効。

◆ ケース2:遠方在住で全て業者に任せた事例

子どもが関西在住で、親の家が東京にあったケース。解体業者に加え、司法書士・遺品整理業者を紹介してもらい、現地に行くのは契約時と完了時のみで済んだ。
→ 教訓:地元業者のネットワークを活用すれば、遠方からでもスムーズに解体を進められる。

◆ ケース3:補助金を活用して費用を抑えた事例

老朽家屋の解体に対し、市の補助金60万円を利用。解体費用総額150万円のうち、自己負担は90万円に抑えられた。
→ 教訓:補助金は「事前申請」が必須。早めに自治体窓口に相談することが重要。

◆ ケース4:アスベストが発覚した事例

解体中に屋根材からアスベストが見つかり、工期が1ヶ月延長。追加費用80万円が発生。
→ 教訓:築40年以上の住宅は必ず事前にアスベスト調査を行うべき。

◆ ケース5:遺品整理が進まず工期が延びた事例

家財が大量に残されており、相続人が処分に手間取り工事開始が2ヶ月遅れた。
→ 教訓:遺品整理は解体と同時並行で進めず、専門業者に依頼するのが効率的。

心理的負担と遺品整理への配慮

親が亡くなった家を解体することは、単なる工事以上の意味を持ちます。
そこには思い出が詰まっており、「家を壊す=記憶を失う」ように感じる方も少なくありません。

◆ よくある心理的な葛藤

これらの不安を解消するためには、遺品整理を計画的に進めることが大切です。
近年では「遺品整理士」「生前整理アドバイザー」など専門資格を持った業者も増えています。

◆ 遺品整理の進め方(ステップ)

  1. 形見分けを家族で話し合い、残すものを決める
  2. 写真・アルバムはデジタル化して保存
  3. 仏壇や神棚は供養サービスを利用して処分
  4. 家具や家電はリサイクル・買取業者を活用
  5. 残った大量の不用品は遺品整理業者に依頼

「捨てるのではなく、供養や再利用という形で手放す」ことで、心理的な負担を大きく減らすことができます。

ライフライン停止と実務的な注意点

解体工事前には、ライフラインを必ず停止する必要があります。これを怠ると漏電・漏水・ガス漏れなどの事故につながる恐れがあります。

◆ 停止すべきライフラインと流れ

解体工事直前では手続きが間に合わない場合があるため、1ヶ月前から準備するのが安心です。

解体業者との契約で確認すべきポイント

解体工事でトラブルを防ぐには、契約書を細かくチェックすることが重要です。以下は特に注意したい項目です。

「安さ」だけで業者を選ぶのは危険です。
最終的に追加費用や近隣トラブルで高くつくこともあるため、総額で比較することが大切です。

地域別補助金リスト(拡充版)

以下では、東京都23区と首都圏主要都市の解体補助金制度を整理しました(2025年時点の情報を基に作成)。

地域 制度名 上限金額 対象条件
東京都目黒区 老朽危険家屋除却費補助 100万円 耐震性不足と判断された木造住宅
東京都世田谷区 木造住宅除却工事助成 80万円 老朽木造住宅
東京都杉並区 空き家除却補助金 70万円 1年以上使用していない空き家
東京都大田区 老朽家屋解体助成 50万円 老朽化危険家屋
千葉県船橋市 空き家解体補助金 50万円 市内の空き家
埼玉県さいたま市 老朽建築物除却補助金 60万円 危険性が高い木造住宅
神奈川県横浜市 危険家屋解体費助成 80万円 耐震診断で不適格とされた住宅
神奈川県川崎市 老朽危険家屋解体助成 70万円 危険空き家

補助金は毎年予算が決まっており、早い者勝ちとなるケースが多いです。
「解体を検討し始めたら、まず補助金制度を確認する」ことが鉄則です。

よくある質問(FAQ)

親が亡くなった家を解体する際に寄せられる質問をまとめました。30問以上を網羅し、初めての方でも安心できるよう丁寧に解説します。

まとめ

親が亡くなった家を解体するには、相続登記相続人全員の同意が不可欠です。
そのうえで、解体業者との契約、ライフライン停止、解体工事、建物滅失登記という流れを経て手続きが完了します。

費用は建物規模や条件によって大きく変わりますが、補助金や税制の活用で軽減できる場合があります。
心理的にも負担が大きい手続きですが、遺品整理や専門家のサポートを活用することでスムーズに進められます。

「法的リスクを避ける」「費用を最小限に抑える」「家族間のトラブルを防ぐ」――この3つを意識することが成功のカギです。

解体に関するご相談は、ぜひ

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