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公費解体制度とは?併せて覚えておきたい自費解体制度まで解説

公費解体制度とは?併せて覚えておきたい自費解体制度まで解説

公費解体制度とは?併せて覚えておきたい自費解体制度まで解説

地震で被災して建物が倒壊した場合は、公費解体制度を利用して解体工事できることをご存知でしたか? 能登半島地震の公費解体申請数は2万2,983棟と予想件数を上回り、大きな話題を集めていますが、公費解体がベストな選択とは限りません。

 

そこで、今回は公費解体制度について詳しく解説します。この記事では、公費解体と併せて理解したい自費解体制度についても解説しているため、被災した建物を解体する際にお役立てください。

 

公費解体制度とは

公費解体とは地震で被害を受けた建物を、所有者の申請に基づいて、市役所が代わりに解体・撤去する制度をいいます。発災⽇時点において、建物を所有している⽅が申請可能です。

 

能登半島地震の被災地の公費解体申請数は2万2,983棟と、想定を上回る人が制度を利用して大きな話題を浴びて周知されました。

 

公費解体制度のメリット

公費解体のメリットは、解体工事費用を支払わずに済むことです。地震で倒壊した建物の解体費用は予想外の出費となります。

建物の解体費用は高く、30坪の住宅でも90~240万円かかりますが、市役所が解体費用を負担してくれて、前払いする必要もないことが公費解体のメリットです。

 

・30坪の住宅の解体費用相場

構造 坪単価
木造 90~150万円
鉄骨造 150~210万円
鉄筋コンクリート造 180~240万円

※上記は参考価格です。付帯工事費やアスベスト関連費など追加費用が発生する可能性もあるため、解体工事業者に詳細の金額をお尋ねください。

 

30坪の住宅の解体費用について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。

関連記事:『30坪の木造住宅を解体する費用相場は?単価や内訳をわかりやすく解説

 

公費解体制度のデメリット

公費解体制度のデメリットは、建物解体まで時間がかかることです。なぜなら、地震で被災した場合は、大勢の方が公費解体制度を利用することになります。そのため、審査や業者手配に時間がかかり、解体工事まで時間がかかります。

 

能力半島地震では公費解体制度を利用者が想定の件数を超え、5ヶ月経過したにも関わらず解体工事完了率は2%です。被災地の公費解体が進まないと大きなニュースにもなりました。そのため、速やかに建物を解体したいとお考えの方には不向きの制度です。

 

公費解体の流れ

公費解体の流れは以下の通りとなります。

 

 

ここでは、各手順について詳しく解説します。

 

必要書類の準備

まずは公費解体制度を利用するために必要書類の準備をします。市役所のホームページで各書類のダウンロード、書き方の見本の閲覧ができます。

 

・公費解体の必要書類

全員共通 被災家屋等の解体、撤去に係る申請書

被災家屋等の配置図

+代理人が申請する場合 委任状
+共有名義または相続権者がいる場合 様式10号 同意書(共有名義人・相続権者)

相続関係図

+抵当権等が設定されている場合 同意書(被災家屋等に関して設定した権利)
+解体する物件を第三者に貸している場合 同意書(借家等の居住者)
+隣地に倒れている場合 同意書(隣接地権者等)

 ※市区町村で提出書類が異なる恐れがあります。そのため、建物の所在地を管轄する自治体のホームページで公費解体制度の必要書類をご確認ください。

 

市区町村に必要書類を提出

公費解体制度を利用するための必要書類を作成したら、市区町村の生活環境課などに出向き予約券を受け取ります。

 

地震の被害が大きな場合は公費解体制度の申請が混む恐れるため、市役所に電話をして予約券の受け取りを予約すると良いでしょう。予約券を受け取り、指定された日時に必要書類を提出します。

 

公費解体制度の審査

市区町村に提出した必要書類で、工費解体制度の審査が行われます。審査期間中に解体現場に立ち会い、建物の確認や解体方法、作業の流れを決めます。

何らかの理由で建物の解体をやめたい場合は、審査期間中に市役所に取下書を提出しなければいけません。

 

解体の通知決定書の送付

立ち合いが終了後に市役所から郵送で解体撤去決定通知書(または解体撤去不決定通知書)が届くので確認してください。解体撤去決定通知書には、解体工事を担当する解体業者名が記載されています。一方で、解体撤去不決定通知には不決定理由が記載されています。

 

解体工事

解体撤去決定通知書が届いた後に、解体工事業者から着工開始日の連絡が入ります。着工日に立ち会う必要はありません。

 

しかし、着工日が決まったら、近隣住民の方へ周知して解体工事に協力してもらう必要があります。公費解体の場合は施主側の希望で解体工事業者や解体工事のスケジュールなどは決めることはできません。そのため、解体希望日がある方は、次の項目で紹介する自費解体制度を利用しましょう。

 

解体の完了通知の送付

解体工事の完了後は、現場で立ち会って問題ないかを確認します。現場で問題がないと同意すれば、後日、市区町村から被災家屋等解体・撤去完了通知書が郵送されてきます。

 

公費解体制度以外の方法はない?

公費解体制度以外にも自費解体制度などがあります。公費解体制度を利用すると、被災後、半年経過しても建物解体工事が完了しません。

建物解体後に建て直して地域に住みたいとお考えの人は計画通りに進まない恐れがあります。そのような不安がある方は公費解体制度ではなく自費解体制度を上手く利用することをおすすめします。

 

自費解体制度とは

自費解体制度とは地震で倒壊した建物の解体工事費用を償還してもらえる制度です。発災⽇時点において、建物を所有している⽅が申請可能です。公費解体制度より知名度がなく利用率は低いです。

 

自費解体制度のメリット

自費解体制度のメリットは、速やかに解体工事が行えることです。また、解体業者を選べて着工日や土地引き渡し日を決められます。解体工事費用が安い解体工事業者を選べば、自費解体制度の償還金と相殺できます。つまり、解体工事の実質負担額を抑えることが可能です。

 

自費解体制度のデメリット

自費解体制度のデメリットは、一時的に解体費用を負担しなければいけないことです。解体工事後に自費解体制度の審査が行われて償還額が決定します。そのため、解体工事費用を前払いしなければいけません。また、償還額が振り込まれるまで時間がかかります。

 

解体費用の方が償還額より高い分は自己負担しなければいけないこともデメリットです。

 

自費解体制度の流れ

自費解体制度の流れは以下の通りです。

 

 

ここでは、各手順について詳しく解説します。

 

 

必要書類を準備する

まずは、自費解体制度で必要な書類を準備します。罹災証明書で半壊以上と判定されている物件以外では被災状態が確認できる証拠写真も必要です。

 

 

 ※市区町村で提出書類が異なる恐れがあります。そのため、建物の所在地を管轄する自治体のホームページで自費解体制度の必要書類をご確認ください。

 

市役所に必要書類を提出する

自費解体制度を利用するための必要書類を作成したら、市区町村の生活環境課などに出向き予約券を受け取ります。

地震の被害が大きな場合は公費解体制度の申請が混む恐れるため、市役所に電話をして予約券の受け取りを予約すると良いでしょう。予約券を受け取り、指定された日時に必要書類を提出します。 

自費解体制度の審査を行う

必要書類を参考にしながら、自費解体制度の審査が行われます。解体工事が適切に行われたかを確認するため現地調査を実施します。現地調査の訪問日の通知はありません。敷地内に市役所の現地調査員が立ち入る可能性があることを理解しておきましょう。

 

償還額の算定

現地調査を行った上で自費解体制度の償還額を算定します。市区町村の基準により算定した額が解体工事業者へ支払った金額を下回った場合は、申請者自身が負担する必要があります。

 

交付決定通知

現地調査を行い償還額の算定を行った上で、償還金交付決定通知書等(または償還金不交付決定通知書等)が送られてきます。還金不交付決定通知書等には、不交付の理由が記載されています。

請求書の提出・支払い

交付決定通知書が届いたら、請求兼⼝座振込依頼書を作成します。交付決定通知書が届いた日から30日以内に、市役所に請求兼⼝座振込依頼書を提出しましょう。償還金の振り込み先は解体工事契約者に限ります。そして、指定口座に償還金が振り込まれます。

 

公費解体制度に関してよくある質問

最後に公費解体制度に関してよくある質問をご紹介します。

 

Q.公費解体制度で建物が解体される時期はいつ頃ですか?

公費解体制度で建物が解体される時期は明確に決まっていません。市区町村に必要書類を提出して審査を受けた後に、解体工事業者が通知されます。そして、解体工事業者が解体工事の着工日を教えてくれます。

公費解体制度の申請者数が多ければ、審査などに時間がかかってしまうでしょう。

 

能力半島地震では公費解体制度を利用者が想定の件数を超え、5ヶ月経過したにも関わらず解体工事完了率は2%です。

被災地の公費解体が進まないと大きなニュースにもなりました。そのため、建物を速やかに解体したい人には自費解体制度がおすすめです。

 

Q.年内に解体してもらえない場合、固定資産税はどうなるの?

公費解体制度の申請者が多くて建物が解体されない場合は、翌年の固定資産税等はかかりません。政府が自治体に対して被災者の状況に配慮するように求めています。

 

固定資産税は毎年1月1日時点で存在している家屋、土地の所有者に支払い義務があり4月に課税されますが、被災者は免除されます。

 

Q.自費解体制度の支給額はどれぐらいですか?

自費解体制度の支給額は自治体により異なります。また、1階建て、2階建てなどでも変わります。例えば、石川県七尾市の場合の自費解体制度の支給額は以下の通りです。 

つまり、1階木造住宅の場合は約90万円、2階建ての場合は約120万円支給されることになります。

 

Q.自費解体制度の場合は、どのような業者に依頼すべきですか?

地震で被災した際に、建物を解体する場合はサポート力のある解体工事業者に相談することをおすすめします。お客様の意向を聞いた上で公費解体制度を利用すべきなのか、自費解体制度を利用すべきなのかを提案してもらえます。

 

制度の活用方法を間違えてしまうと、後悔してしまうでしょう。そのため、サポート力のある解体工事業者へ依頼しましょう。

 

Q.地震で被災した場合に知っておきたい手続きはありますか?

地震で建物が倒壊した場合は、公費解体制度や自費解体制度の他にも、火災保険や災害見舞金のようなものがもらえる可能性があります。そのため、自治体、保険会社、勤務先に問い合わせをしてみましょう。

 

(1)火災保険手続き

火災保険のオプション「残存物取片付け費用保険金」に加入している場合は、保険金10%を限度として支給 してもらえます。

 

(2)災害見舞金

災害見舞金とは火災や地震などの被災者向けに支給される見舞金です。勤務先から支給されるものと自治体から支給されるものがあります。勤務先から支給される災害見舞金については就業規則に記載されているため確認してみるとよいでしょう。

 

まとめ

公費解体とは地震で被害を受けた建物を、所有者の申請に基づいて、市役所が代わりに解体・撤去する制度をいいます。

公費解体制度のメリットは、解体工事費用を支払わずに済むことです。しかし、建物が解体されるまでは時間がかかります。大切なことは、お客様の意向に合う制度を利用することです。 

株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事に関する相談を無料で承っております。公費解体制度と自費解体制度のどちらを使用すべきか相談に乗りますので、お問い合わせをお待ちしております。

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