アスベストの調査費用は、基本的に施主が負担しなければなりません。
そのためアスベストの解体を予定している方のなかには「調査費用を安くする方法は?」「補助金は使える?」と、事前調査費用に関する疑問がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、アスベストの調査費用相場や内訳、安くするコツについて紹介します。解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が初めての方にもわかりやすく責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
【面積・構造別】アスベストの調査費用相場
アスベストの調査費用は、「建物の面積と構造」によって大きく異なります。まずは「2階建て建築物の構造」別にアスベストの調査費用相場を以下の表にまとめましたので、確認してみてください。
構造 | 調査費用相場 |
木造 | 4〜5万円 |
鉄骨造 | 8〜27万円 |
鉄筋コンクリート造 | 8〜33万円 |
上記の表より木造建築が最も安く、鉄筋造と鉄筋コンクリート造の建築物は比較的高くなる傾向にあります。
理由は、鉄筋造と鉄筋コンクリート造には調査単価が高い「吹付け材」が使用されていることが多いからです。
次に木造の広さ別にアスベストの調査費用相場をまとめました。
面積 | 調査費用相場 |
35坪 | 1〜2万円 |
60坪 | 4万円程度 |
90坪 | 5万円程度 |
面積が小さい場合には「1万円程度」で済む場合もあります。
業者から見積もりを出してもらう際には、上記の相場とかけ離れすぎていないかを確認すると良いでしょう。
アスベスト調査の流れ
発注者からの問い合わせ後、「アスベスト調査」は以下の流れで行われます。
- 1.建物の設計図書等でアスベストの使用有無を調べる「図面調査」
- 2.調査員が建物がある現場に赴き目視で確認を行う「現地調査」
- 3.現地で検体を採取
- 4.検体のアスベスト含有率を分析
- 5.施主および労働基準監督署用にアスベスト有無の調査報告書作成
上記の手順のうち、施主が関与する工程は「現地調査」と「報告」です。
現地調査の際には過去の工事内容や目的をヒアリングする必要があるため、基本的に「施主の立ち会い」が求められます。また大気汚染防止法の法改正により2022年4月以降から、「報告書面上で施主に調査結果を説明する」ことが業者に対して義務付けられました。
アスベストの事前調査にかかる費用内訳
先述したアスベスト調査の流れを踏まえて、こちらでは「アスベスト調査における費用の内訳」について、以下の6つを紹介します。それぞれの費用相場や目安についても解説していきますので、参考としてご覧ください。
- 1.書面調査費用
- 2.現地調査費用
- 3.検体採取費用
- 4.アスベスト含有率分析費用
- 5.報告書作成費用
- 6.交通費
1.書面調査費用
「書面調査費用」は、建物の設計図書や対策工事記録に基づいてアスベスト含有情報を読み取る工程に必要な費用です。書面調査費用の相場は「約2〜3万円」で、全体費用の3割程度を占めます。
2.現地調査費用
調査員が現地に赴き目視で調査する際の「現地調査費用」もかかります。
現地調査費用の相場は「2〜4万円程度」です。
また安全性を確保するために「補助作業員」が必要と判断された場合には、現地調査費用が上乗せされます。
3.検体採取費用
分析に必要な検体を採取するための「検体採取費用」も調査費用に含まれます。
検体採取費用には一般的に、「5,000〜30,000円程度」かかります。
大きく費用が異なる理由は、採取するサンプル数や場所が増えるにつれて金額が高くなるからです。そのため建物の複数箇所にアスベストが使われている場合には、採取費用が相場よりも高くなる可能性があります。
4.アスベスト含有率分析費用
「アスベスト含有率分析費用」は、採取した検体からアスベストが含まれる量を調べるための費用です。以下の表からわかるように、定量分析を追加するかどうかによって金額が変わってきます。
分析方法 | 費用相場 |
定性分析 | 14,000〜26,400円 |
定性分析+定量分析 | 27,500〜37,400円 |
また分析する検体数が増えるごとに、別途分析費用が加算されていきます。
5.報告書作成費用
調査業者には、アスベストの調査内容の報告が義務付けられています。
そのため「報告書を作成」するための費用も、事前調査費用に含まれます。
1部目は調査費用として合算されていますが、2部目以降の発行手続きから「500円程度」の追加料金がかかる場合もあるため、注意してください。
6.交通費
遠方の業者に依頼する場合には、調査員の「交通費」が必要となります。同じ県内の調査であれば「無料」で対応してもらえる場合もありますが、大阪・東京間など複数の地域をまたぐ場合には「1〜3万円以上」かかる場合も。
全国エリア対応業者でも交通費は別途必要になる場合もあるため、交通費をかけたくないのであれば近隣地域の業者に依頼することをおすすめします。
【解体前にチェック】アスベスト調査費用が高くなる原因
費用がかかるのは仕方ないものの、なるべく安く抑えたいものですよね。
こちらでは「アスベスト調査費用が高くなる原因」について以下の3つを紹介します。
対策もお教えしていますので、チェックしてみてください。
- ・アスベストの危険レベルが高い
- ・業者の選定を怠る
- ・高度な分析方法で調べる
アスベストの危険レベルが高い
飛散性が高い「アスベストレベル1・2」の建材の調査費用は、調査時の危険性が高く慎重な作業が必要なため割高になる傾向があります。レベル1は主に「ビルの機械室等の天井や外壁、立体駐車場」に多く施工され、レベル2は「梁や柱、屋根」に多用されていました。
なおレベルが高いアスベスト調査には、自治体の補助金が適用できる場合もあるため、総合的には費用を抑えられるケースもあります。
業者の選定を怠る
依頼する業者の選定を怠ると、相場よりも費用がかかる場合や余分に支払う必要が出てきます。例えばアスベスト専門外の業者に依頼すると、工法が限定され解体費用が高く見積もられてしまう可能性があります。また離れた地域の業者に依頼すると、別途交通費を請求される場合も。
費用を安くするうえでは、しっかりと業者のホームページを見て選ぶことが重要です。
高度な分析方法で調べる
アスベストの有無を調べる「定性分析」であれば比較的安く済ませられます。一方で推定質量や非アスベスト繊維などを明らかにできる「定量・推定質量分析」などの高度な分析方法の場合には、アスベスト調査費用が割高になる傾向があります。
定量分析の場合には、定性分析と比較し「1万円」ほど高い金額が請求される場合もあるため注意してください。特にこだわりがない場合には、「定性分析のみ」を依頼すると良いでしょう。
アスベスト調査・解体工事費用を安くするコツ3つ
アスベストの事前調査費用はいくつかのポイントを押さえることで、費用をお得にできます。こちらでは「アスベストの事前調査・解体費用を安くするコツ」について、以下の3つを紹介します。
- ・複数のアスベスト業者に見積もりを依頼する
- ・調査スケジュールに余裕を持たせる
- ・アスベスト用の補助金を利用する
1.複数のアスベスト業者に見積もりを依頼する
アスベストの調査・解体を業者に依頼する際には、1社だけではなく複数のアスベスト業者に見積もりを依頼しましょう。
複数の見積もりを比べることで、適正な費用や必要な工事を相対的に知ることができるメリットがあります。
2.調査スケジュールに余裕を持たせる
一般的にアスベストの調査分析には「1週間以上」必要ですが、なかには「特急速報サービス」という、通常よりも短い日数で分析を行ってくれる業者も。ただし調査結果の納期を早めると、その分費用が割高になります。
そのため余分なお金を消費しないように、調査スケジュールには余裕を持たせると良いでしょう。
3.アスベスト用の補助金を利用する
アスベストの事前調査と解体工事には、自治体の補助金や助成金が活用できる場合もあります。アスベスト用の補助金を活用することで、「最大10〜300万円」ほど助成してもらえます。
アスベスト費用を節約したい方は、業者への問い合わせ段階で使える補助金を聞いてみると良いでしょう。
アスベスト事前調査・解体工事に利用できる補助金
では、「アスベスト事前調査と解体工事に利用できる補助金制度」をいくつか紹介します。
すべての補助金制度が同じわけではないため、地方公共団体や国土交通省、厚生労働省のホームページもあわせて確認してみてください。
アスベスト事前調査用の補助金制度
アスベストの事前調査用の補助金が各自治体から提供されています。以下の表にて補助金制度の例を3つ紹介しますので、参考にしてみてください。
補助金制度名 | 提供自治体 | 概要 | 補助内容・金額 |
吹付けアスベスト対策補助事業 | 千葉市 | 「吹付けアスベスト・アスベスト含有吹付けロックウール」が施工されている千葉市内の建築物に対して、分析調査費用の一部を補助 | ・分析調査費用の10分の10以内
・上限額:1棟あたり25万円 |
アスベスト対策助成等 | 東京都千代田区 | アスベスト調査員を派遣し、「検体採取・アスベスト含有率分析・報告書作成」を行う | ・派遣調査費用無料
・事情により派遣を行えない場合は、調査費用分として1棟あたり25万円限度を助成 |
神奈川県民間建築物吹付けアスベスト等補助事業費補助金 | 神奈川県 | 平成元年以前に着工された、アスベスト含有吹付け材が施工されている「延べ面積300㎡以上1000㎡未満」民間建築物に対して、分析調査費用の一部を補助 | ・上限額:1棟あたり25万円
・含有調査を一検体のみ行う場合は、限度額16万円 |
主に、「専門調査員を派遣する制度と調査費用を補助する制度」が提供されています。また「補助対象」については特に細かく条件が決められているため、注意が必要です。
アスベスト解体工事用の補助金制度
アスベストの解体工事用の補助金もあります。以下の表にて補助金をまとめましたので、確認してみてください。
補助金制度名 | 提供自治体 | 概要 | 補助内容・金額 |
民間建築物吹付アスベスト対策事業 | 神奈川県川崎市 | アスベスト含有吹付け材が露出している建築物の石綿除去・封じ込め・囲い込み工事にかかる費用の一部を助成 | 補助率:3分の2
上限金額:300万円 |
除去工事費用の助成 | 東京都練馬区 | 建築物等の増改修工事に伴って行われる、露出した吹付けアスベストおよび既に囲い込み・封じ込めされた吹付けアスベスト等の除去工事に必要な費用の一部を助成
ただし、除去工事後も5年以上引き続き使用することが前提条件 |
戸建て住宅の場合
補助率:3分の2 上限金額:200万円 |
民間建築物アスベスト分析調査・除去等の補助 | 千葉県船橋市 | 分析調査の結果、吹付けアスベスト材があると判明した市内の建築物に対して、除去工事の費用を一部助成 | 補助率:3分の2
上限金額:120万円 |
解体工事用の補助金制度は主に、「吹付けアスベスト・アスベスト含有吹付けロックウール」が対象となっています。
一方で比較的飛散性が低い「石綿含有保温材や断熱材、耐火被覆材」などは、補助対象から外れている場合も多いため、利用する際には各自治体に確認をとると良いでしょう。
アスベストの調査費用に関する悩みは解体専門業者へ相談
アスベスト調査費用を安く済ませたい場合や、自治体からの補助金・助成金を利用したい場合には、まずは解体業者に相談することをおすすめします。
もちろん、ハウスメーカーや不動産会社、工務店など、他業者にもアスベストの調査依頼は可能です。とはいえ専門でない会社はアスベスト関係の助成金を詳細に把握していないことが多く、損をしてしまう可能性があります。また建て替えの際に工務店に解体を依頼してしまうと、下請けの解体業者とコミュニケーションを取る機会がなく、調査スケジュールの希望が通らない可能性も。
一方で解体業者は、アスベスト調査・除去に対する助成金についても熟知しています。また、施主の予定に合わせて、柔軟に調査スケジュールを組んでくれる業者もいます。
そのため家の建て替えや解体がはじめての方は、アスベスト調査に慣れている「解体業者」がおすすめです。
まとめ
アスベストの事前調査費用相場は「1〜33万円」と、面積や構造によって大きく差があります。アスベストレベルが高い建材が多い家や、高度な分析方法で依頼する場合には、費用が高くなる傾向にあるため、注意が必要です。
またアスベスト調査費用をなるべく安く抑えたい方は、「建設業者やリフォーム会社」など解体のプロではない業者に依頼するのではなく、解体に関する豊富な知識を有する「解体業者」がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造住宅・ビル・店舗内装」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の経験も豊富です。また当社では丁寧なヒアリングを心掛けておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、当社のホームページからお気軽にお問い合わせください。