「建物を解体する際に、更地や整地のどちらにすべきなのだろうか…」と悩んでいませんか?結論から説明すると、お客様の目的に合わせて、更地か整地費を決めることが大切です。
目的に合わせて選ばなければ損をして後悔してしまいかねません。そのため、更地と整地の違いについて理解しておきましょう。
今回は更地と整地の違いについて解説します。更地に向いている人、整地に向いている人についてまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
更地と整地の違い
更地と整地の違いは「目的」「転圧作業の有無」「費用相場」です。
更地 | 整地 | |
目的 | 土地活用 | 土地の価値を上げる |
転圧作業の有無 | 無 | 有り |
費用相場(※) | 9~25万円 | 10~100万円 |
※建物の種別、土地の状況、工事内容にて料金は変動するため、詳細金額は業者にお問い合わせください。
住宅や店舗などを解体して、新たに土地活用するために更地にします。そして、土地を売却するために土地の価値を上げたい場合に転圧作業して整地にします。転圧作業する前を更地、転圧作業した後を整地と覚えると理解しやすいです。
更地とは
更地とは、住宅や店舗、倉庫など建物が建っていない状態の土地をいいます。
国土交通省「不動産勘定評価基準」には、更地の定義が書かれています。
更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
使用収益を制約する権利とは、借地権や地上権、賃借権などがあげられます。
・借地権:建物を所有するために地代を支払って土地を借りる権利
・地上権:所有者の許諾を得ずに土地を使用する権利
・賃借権:所有者の許諾を得て土地を使用する権利
つまり、所有者が他人に土地を自由に貸し出せるなど、何も制約を受けないものを更地といいます。
土地の種類(地目)は全部で23種類あり、一般的に建物が建てられる宅地を更地といいます。
更地の費用相場
更地の費用相場は、解体工事全体の10%程度となります。
建物の構造 | 解体費用 | 整理費用 |
木造 | 90~150万円 | 9~15万円 |
鉄骨造 | 150~210万円 | 15~21万円 |
鉄筋コンクリート造 | 180~240万円 | 18~24万円 |
※建物の種別、土地の状況、工事内容にて料金は変動するため、詳細金額は業者にお問い合わせください。
30坪の解体費用相場について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『30坪の木造住宅を解体する費用相場は?単価や内訳をわかりやすく解説』
更地が向いている人
更地が向いている人は、土地活用を検討している方です。さまざまな土地活用の方法がありますが、以下のような活用方法を検討している方は更地で問題ないでしょう。
<おすすめの土地活用方法>
・駐車場経営
・コインランドリー経営
・トランクルーム経営
・太陽光発電
・資材置き場
・事業用貸し出しなど
整地とは
整地とは、土地をキレイに整える作業をいいます。土地の凹凸を転圧作業で平坦にして、雑草を取り除いた状態など整備された土地を指します。
土地の上の住宅や店舗を解体した状態を更地、転圧作業でキレイにした土地を整地と考えると理解しやすくなるでしょう。
工事種別 | 詳細内容 |
粗仕上げ | 雑草や石を取り除き、転圧作業を行う |
砂利整地 | 整地後に砂利を敷く |
砕石舗装 | 整地後に石を敷き詰める |
真砂土舗装 | 整地後に土を敷き詰める |
土間コンクリート | 土間コンクリートの舗装を行う |
アスファルト舗装 | アスファルトの舗装を行う |
防草仕上げ | 雑草が生えないようにシートを設置する |
どのように仕上げたいかで、整地方法が変わります。
整地された土地は見た目がキレイになり、土地購入者に対して良い印象を与えることができます。
整地の費用相場
整地は解体費用とは別途費用となり、どのように仕上げるかで費用が変わります。30坪の整地の費用相場をご紹介します。
工事種別 | 詳細内容 |
粗仕上げ | 5~10万円 |
砂利整地 | 10~15万円 |
砕石舗装 | 20~70万円 |
真砂土舗装 | 30~45万円 |
土間コンクリート | 50~100万円 |
アスファルト舗装 | 50~100万円 |
防草仕上げ | 10~60万円 |
※30坪の施行費用の相場です。建物の種別、土地の状況、工事内容にて料金は変動するため、詳細金額は業者にお問い合わせください。
整地が向いている人
整地が向いている人は、土地の価値を上げて高値で売却したいと思っている人です。
土地を整地しておくことで、新築工事が行いやすくなります。また土地の見栄えが良くなるため、土地購入者に対して好印象を与えられるようになり、高値で土地を売りやすくなります。
一般的に不動産売却にかかる平均期間は3~6カ月と言われており、雑草を取り除くなど管理を行わなければなりません。しかし、砂利整地など行っておけば雑草も生えにくくなり管理の手間を省けます。このようなメリットがあるため、土地を高く売却したい人は整地がおすすめです。
更地や整地を行う前に知っておきたいこと
更地や整地を行う前に知っておきたいことは3つあります。
知らなければ高い税金を支払わなければならかったり、近隣住民トラブルが起きてしまったりするため、同意した上で更地や整地を行うようにしましょう。
固定資産税や都市計画税が増える
建物を解体して更地や整地にすると住宅用地の特例措置が適用されなくなります。
住宅用地の特例措置とは、住宅が建っている土地の固定資産税・都市計画税を軽減する措置をいいます。
土地の広さ | 固定資産税 | 都市計画税 |
200㎡以下 | 固定資産税評価額✕1/6 | 固定資産税評価額✕1/3 |
200㎡超え | 固定資産税評価額✕1/3 | 固定資産税評価額✕2/3 |
住宅用地の特例措置を受けられなくなり、高額な固定資産税・都市計画税を支払わなければならなくなるため、土地活用や売却など方向性が決まり次第、解体することをおすすめします。
解体後の固定資産税や市計画税について詳しく知りたい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『解体後の固定資産税はどうなる?税金の仕組みと節税対策を解説』
土地管理費がかかる
建物を解体して更地、整地すれば土地管理から逃れられるわけではありません。土地を適切に管理する必要があります。
なぜなら、土地を放置して雑草が生えると近隣住民に迷惑をかけてしまうためです。そのため、雑草を取り除いたり水まきして洗浄したりします。
土地管理の方法には、自主管理と委託の2通りの方法があります。
自主管理は手間がかかりますが、管理委託費を支払う必要がありません。
しかし、仕事や育児との両立は負担に感じてしまうでしょう。
一方で、土地管理を委託すれば業者が全て対応してくれますが、月1~2万円程度かかります。年間12~24万円の土地管理費がかかります。
※土地管理費用を抑えたい場合は整地を行った方がトータルコストを抑えられます。
信頼できる解体業者を見極める必要がある
住宅を解体して更地、整地する際には信頼できる解体業者を見極めましょう。
信頼できる工事業者であれば、明瞭会計で作業も丁寧で安心できます。
解体業者で失敗しないためのポイントをまとめたので、業者選びの際にお役立てください。
<解体業者の選び方>
・建設業許可証や解体工事登録番号を取得している
・損害賠償責任保険に加入している
・見積書に内訳が記載されていて明瞭会計である
・解体工事の担当者が親切で信頼できる
・補助金や助成金の相談にも応じてくれる
・自社施工である
・マニュフェストを発行してくれる
・解体工事実績を載せており、現場がキレイである
・Googleの口コミが豊富で評価が高い
複数の解体業者に見積もり依頼すると、どこの業者が信頼できそうか見極めやすくなります。
さまざまな解体業者が存在するため、どこに依頼すべきか悩んだら、解体業者ランキングを参考にしてみてください。
関連記事:『【日本全国版】解体工事業者ランキング!Google口コミ高評価を厳選』
更地・整地にするための工事の流れ
最後に更地・整地にするための工事の流れをご紹介します。
契約
(1)お問い合わせ
解体工事業者のホームページを見て、気になる業者へお問い合わせします。ホームページのチェックポイントは3つです。
・施行対応エリアであるか
・解体工事の実績を豊富に持っているか
・建設業許可証や解体工事登録番号を取得しているか
(2)現地調査
解体工事の見積金額を提示するために、現地調査を行います。現地調査は立ち合いを求められないケースもありますが、残しておきたい木、処分して欲しい設備など希望を伝えたい場合は立ち会うようにしましょう。現地調査に立ち会うことで、業者の雰囲気も知れます。
(3)見積金額の比較
現地調査後に見積書が提出されるため、各社の内容を比較します。
(4)契約
解体工事費用や対応など信頼できる解体工事業者と契約を締結します。契約に至らなかった解体工事業者にもお断りの連絡を入れると親切です。
解体工事の契約のチェックポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『解体工事の契約書6つのチェックポイント!不備による罰則も解説』
着工
(1)関連書類の提出
80㎡以上の建物を解体する場合には、管轄の行政機関へ解体工事届出を提出する必要があります。解体工事業者に解体工事届出を代行することが可能です。また、補助金・助成金の申請なども、このタイミングで行います。
また、業者側には道路使用許可とアスベストの報告が義務付けられています。
(2)近隣住民への挨拶
解体工事を始める前に、近隣住民への挨拶をします。近隣住民への挨拶も業者にお任せできますが、施主も同伴すると印象が良くなります。
(3)家の片づけ
解体工事日までに家財道具などを処分します。解体工事業者に家財道具の処分もお任せできますが、費用が高くなるため、自分自身で行うことをおすすめします。
(4)ライフラインの停止
ガスや電気、電話線、インターネットなどのライフラインの停止手続きを行います。水道は工事で散水するために使うため、手続きしないように気をつけましょう。
近隣挨拶をする際に、どのような粗品を渡すべきか知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『家の解体工事前の挨拶に粗品は必要?失敗しない7つの品物を紹介!』
施工工事
施行工事中は施主が関わることがありませんが、どのような手順で施行させるのか知っておくと安心できます。
<施行工事>
1.足場の設置
2.養生の設置
3.アスベストの除去作業
4.屋根の撤去作業
5.建物内部の撤去作業
6.重機を使用した建物本体の解体
7.基礎の撤去作業
8.廃棄物の運搬・処分
9.養生の撤去作業
10.足場の撤去作業
11.地中障害物の撤去作業
12.重機の搬出
13.整地作業
14.清掃
工事完了
(1)近隣住民への挨拶
解体工事が完了したことを報告、協力してくれたことへのお礼を伝えます。
(2)解体業者への支払い
解体現場を見て問題なければ、解体業者へ料金を支払います。
(3)建物滅失登記の手続き
解体工事を終えたら法務局へ建物滅失登記の申請を行います。「取り壊し証明書」や「登記事項証明書」など準備して速やかに手続きしましょう。
建物滅失登記の手続きについて詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『滅失登記手続きの費用相場は?自分で手続きして費用を安く抑える方法まで解説』
まとめ
更地とは、住宅や店舗、倉庫など建物が建っていない状態の土地をいいます。建物を壊して土地活用するために更地工事を行います。
一方で、整地とは土地の価値を上げるために行うものです。土地の価値を上げて高値で売却したいと思っている人におすすめです。
このように、目的により更地と整地のどちらにすべきかが変わります。ぜひ、お客様の目的に合った方法を選んでみてください。
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