養生シートなしの解体工事は違法?対策方法を解体のプロが解説!
建物を壊しているのに「養生シート」がない工事現場。もしかして違法な業者なのかも?と不安になりますよね。
実は、養生シートはすべての解体工事に義務付けられているものではないため、シートがないだけで違法な業者とは言い切れません。
では「養生シートって何のためにある?」「養生シートがない工事の対策方法は?」と、疑問が出てくる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が、養生シートに関する以下の情報をまとめて紹介!
- ・養生シートがない解体工事の違法性とその役割
- ・解体業者を養生シートのあり・なしで見極める方法
- ・養生シートの設置費用
- ・養生シートなしの解体工事で発生するトラブルの対策方法
初めての方にもわかりやすく責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
そもそも解体工事の養生シートって何のため?
そもそも解体工事の「養生シート」って、何のためにしているかご存じですか?実は養生シートに関する法的な義務はなく、業者が強制的にしなければならない作業ではありません。強制ではなく養生シートの設置は「安全対策」の一環として、業者の任意で行われます。
では、養生シートの役割や仕様書の内容から「解体工事における養生シートの目的」を具体的に紐解いていきましょう。
養生シートの役割
養生シートの役割は以下のようにさまざまです。
- ・解体工事で発生するホコリ・ゴミ・アスベストなどが周辺に飛散しないようにする
- ・危険な工具が道路上や通行人に落下することを防ぐ
- ・工事にともなう音漏れの軽減
- ・作業員の転落による事故防止
- ・雨風を防ぐ
特に養生シートは作業員や周囲の人の安全性を確保するうえで、重要な役割を持ちます。
一方で「散水」による養生で十分と判断される場合には、養生シート以外の養生方法で行われるケースも。
例えば以下の工事では、養生シートを使用しないことが一般的です。
- ・小規模な解体工事
- ・粉塵が発生しにくい建築物の解体
- ・隣接する建物がない場合
養生シートは必ずしも設置しなければならないものではなく業者の判断に委ねられますが、安全性に不安がある場合には積極的に相談することをおすすめします。
養生シートなしは違法ではないが注意が必要
養生シートなしは違法ではありませんが、シートなしで行う解体業者には注意が必要です。
解体業者が守るべき決まり事がまとめてある「建築物解体工事共通仕様書」では、以下のように養生についてしっかりと記載されており、規定を守れない悪質な業者の可能性があるからです。
(1)騒音・粉塵等の対策は、次の(ア)から (ウ) までにより、適用は特記による。特記がなければ、(ア)による。 なお、シート類は防炎処理されたものとする。
(ア)防音パネルは、隙間なく取り付ける
(イ)防音シートは、重ねと結束を十分に施し、隙間なく取り付ける
(ウ) 養生シート等は、隙間なく取り付ける
参照:2章 仮設工事 / 建築物解体工事共通仕様書 令和4年版
仕様書に違反するような業者だとわかった場合には、速やかに各自治体の窓口等に相談するようにしましょう。
解体工事の養生シートあり・なしで見極める解体業者
きちんと養生シートをして解体工事をしている業者は、仕様書を守れる「信頼性が高い業者」といえます。
一方で養生シートなしで解体工事を進める業者は、仕様書や法規定を無視するような業者で、依頼するとトラブルに巻き込まれる可能性があるため注意してください。実際のところ養生シートが必要な工事であるにもかかわらず設置していない場合には、作業員の転落事故や粉塵や騒音問題が発生してしまうケースが多々あります。
そのため「解体工事で養生シートを適切に設置しているかどうか」は、優良な解体業者の基準の一つといえます。
解体工事で使われる養生シートの種類
養生シートにはさまざまな種類があります。ここでは「解体工事で使われる養生シート」について、以下の5種類を紹介します。
- ・防音シート
- ・防炎シート
- ・メッシュシート
- ・ブルーシート
- ・プラスチックシート
- ・自動車用養生カバー
防音シート
「防音」と書かれたグレーのカバーで覆われている建物を見たことはありませんか?そのカバーシートが「防音シート」です。防音シートの厚さは「0.5〜1mm」のものが一般的で、厚みがあればあるほど高密度になり高い防音効果が期待できます。そのため騒音トラブルに配慮するのであれば、厚みがある防音シートを使ってもらえないかを業者に相談することをおすすめします。
防音シートが使われるのは、住宅密集地での工事やコンクリート打ちっぱなし物件等の頑丈な構造の解体工事など、解体にともなう大きな音漏れを防ぐ必要があるケースです。また防音シートに付いている「オーバーラップ用の帯状シート」により隙間なく養生できるため、「防塵対策」にも効果があります。
防炎シート
「防炎シート」は、消防庁認定の防炎物品に当たるシートで、防炎性はもちろんのこと防水性や耐久性、耐候性など、シートとして優れた性質がたくさんあります。
防炎シートは高層マンションやホテル、飲食店など防炎物品の使用が義務付けられている工事で使われるケースが一般的です。ただし一般住宅の解体でも安全性を重視したいのであれば、防炎シートを使えるか相談してみると良いでしょう。
メッシュシート
「メッシュシート」とは主に、強風の影響により工具が落下してしまうのを防止するために足場の周りに設置されるシートです。防音シートのように密閉性の高いカバーではなく、網目状に穴が開いているため、うまく風を分散させて通し風の影響を緩和することが可能です。
ただし風通しが良い分、解体で発生するホコリやゴミなどの粉塵は周囲へ飛散してしまいます。そのため粉塵に関係する近所トラブルを避けたい場合には、ほかのシートで代用できないか業者と相談することをおすすめします。
ブルーシート
「ブルーシート」は耐久性・防水性に優れることから、以下のようにさまざまな用途で使われます。
- ・解体現場で発生するホコリ等などの粉塵飛散防止カバー
- ・目隠し用のカバー
- ・強風の影響を受けにくくするための風除けカバー
- ・雨により建物が濡れないようにするための防水カバー
- ・重機で道路を傷つけないための道路保護用カバー
またブルーシートが建物に使われる際は、養生をする前の「仮養生」としての使用が一般的です。
プラスチックシート
「プラスチック製の養生シート」は、アスベストを含む建物や建材を除去する工事に使用されます。プラスチック製のシートが使われる理由は、ポリエステル素材の一般的な養生シートと比較して強度があるため、工具等でシートが破れてアスベストが外へ漏れ出してしまう事故を防げるからです。
特に危険性の高いアスベスト作業の場合には、2枚のプラスチックシートで養生したり、プラスチックシートと防炎シートの2重で養生したりと、徹底した隔離が義務付けられています。
自動車用養生カバー
建物用の養生シートだけでなく、「自動車専用の養生カバー」もあります。自動車専用の養生カバーは業者が解体現場で使うものではなく、解体で発生するホコリ等から車を守るために、業者が近隣住民の方に貸し出しているものです。
そのため近隣で解体工事が行われる際に希望するのであれば、業者に一度聞いてみると良いでしょう。
養生シート設置にかかる費用相場
養生シートを設置するのにかかる費用相場は、「1平方メートルあたり200〜900円」です。
費用は「養生シートの種類や枚数」によって異なり、特に「防音・防火シート」のように特殊なシートは高くなる傾向があります。なお2階建て住宅の外壁面積は「100〜170m2程度」であるため、「2〜17万円以内」に収まるケースが一般的です。
また養生シートの購入費は解体業者が負担しますが、設置費用は「施主負担」となります。そのため業者との契約前に、見積書の「養生シートや仮設工事の価格設定」をしっかりと確認するようにしましょう。
養生シートなしの解体工事で発生するトラブル・事故例と対策方法
養生シートなしでも法律違反ではないとはいえ、適切な養生がされていないとトラブルや事故が発生することも。ここでは「養生シートなしの解体工事で発生するトラブル・事故例」について、以下の3つを紹介します。
- ・作業者の転落事故
- ・粉塵・音漏れによる近隣住民からのクレーム
- ・工具の落下事故
またそれぞれの「トラブルに対する対策方法や相談先」についても解説します。
加害者側にならないためにも、養生シート関連のトラブルや効果的な対策方法を理解しておきましょう。
作業者の転落事故
解体工事中に強い風や揺れが生じ、高いところから作業員が転落してしまう事故例が毎年報告されています。
高所作業によるリスクや周囲を巻き込む危険性をなくすために、弾力性のある「メッシュシート」を設置するのが一般的です。
粉塵・音漏れによる近隣住民からのクレーム
重機を使って建物を壊していくため、どうしてもホコリや塵などの粉塵・騒音が発生してしまいます。そのため養生シートの設置が甘く粉塵飛散や音漏れがひどいと、近隣住民からのクレームに発展してしまうケースも。
粉塵や騒音が出るのを少しでも軽減するために、「防音シート」が設置されます。
工具の落下事故
養生シートを設置していないまま解体工事では、作業員の手から工具が落下してしまうと、近くを通っていた人や車にあたってしまう事故が発生する可能性があります。解体工事で使われる工具は、釘を抜くために先端が尖っている「バール」や「金属製のハンマー」など、鋭利で頑丈なものが多くとても危険。
そのため工具落下による事故を防ぐために「メッシュシートやネットシート」など、比較的網目の小さな養生シートで建物全体を覆います。
養生なしの解体工事に関するトラブルは「消費者センター」へ
近隣で解体工事が行われている際に、「養生シートが設置されていなくて洗濯物が汚れた」「養生シートがない工事のせいで粉塵が家まで入ってきて迷惑」など、養生なしの解体工事に関するトラブルや被害は「消費者センター」へ連絡するのも一つの手段です。もちろん、施主として解体を依頼した業者の養生シートの対応に不安がある場合にも相談可能です。
消費者センターに「工事中・工事後に発生したトラブル」を相談すると、解決策のアドバイスを受けることができます。ただし消費者センターの担当者は専門家ではないため、より具体的な解決方法を知りたい場合には、解体業者へ相談することをおすすめします。
【トラブルに巻き込まれないために】養生シートのチェックポイント2つ
解体関連のトラブルを避けるうえでは、養生シートのチェックもかなり重要。ここでは「養生シートのチェックポイント」について、2つを紹介します。業者との契約前・工事施工中それぞれで、施主側が注意すべきポイントについて押さえておきましょう。
1.破れやほつれがある養生シートが使われていないか
検討中の業者との契約前に養生シートを見る機会があれば、「破れやほつれがある養生シートが使われていないか」をチェックしてみてください。理由は「破損がなくきれいな養生シート=シートにも気遣える丁寧な作業をする業者」であることを意味しており、業者選びの一つの判断基準となるからです。
技術力の高い業者に依頼したい場合には、養生シートの状態も重視すると良いでしょう。
2.解体する建物のサイズに合っているか
解体工事の施工中には、業者が使用している養生シートが「解体する建物のサイズに合っているか」を確認しましょう。シート間にスキマがあったり、建物の高さや幅に合っていなかったりすると、粉塵が周囲へ漏れてしまい近所トラブルに発展する可能性もあるからです。
近所トラブルを回避するうえで、養生シートのチェックも大切です。
養生シートの心配事や悩みは解体業者へ相談
養生シートに関する心配事や悩みは、まず解体業者へ相談しましょう。
もちろん、ハウスメーカーや不動産会社など、ほかの業者にも養生シートの相談は可能です。とはいえ、解体が専門でない業者は自社で養生シートの準備を行っていないことが多く、詳しく知っていない可能性があります。また新築建て替えの際に工務店に依頼すると、下請けの解体業者とコミュニケーションを取る機会がなく、養生シート関連のトラブルが発生してしまう可能性も。
一方で解体業者は養生シートの準備から設置まで一貫して行うため、設置方法や費用面で不安があれば親身に相談に乗ってもらえます。また騒音や粉塵関連のトラブルにもしっかり対応できるため、安心して任せられます。
そのため養生シートが原因のトラブルに巻き込まれないためにも、解体業者へ直接委託し相談することをおすすめします。
まとめ
今回解説してきたように、養生シートなしの解体工事に違法性はありません。ただし解体業者が守るべき「仕様書」にはこまかく養生シートに関する記載があるため、シートなしで行う業者には注意が必要です。
また養生シートを適切に設置しなかった工事においては、近隣住民からの苦情や事故事例が多く報告されています。解体が専門ではない業者に依頼すると、養生シートを正しく設置できず想定外のトラブルが発生する可能性も。そのためスムーズに解体工事を進めるためには、解体のプロである「解体業者」への直接委託がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造家屋・空き家・ビル・アパート」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。また当社では丁寧なサービスを心掛けておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、Webサイト上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。
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