地中埋設物の撤去義務は売主にあり!調査方法や費用について解説
地中埋設物とは、ゴミ・コンクリートの塊・瓦など、地中に埋まっている廃棄物などのことです。
自宅の建替えの際などは地中埋設物の撤去義務はありませんが、土地の売却を検討している場合には、地中埋設物の撤去をする必要があります。
本記事では、地中埋設物の基本知識から地中埋設物を撤去する理由、地中埋設物を調査する方法と費用、地中埋設物で契約不適合責任に問われるケース、地中埋設物によるトラブルを防ぐ方法について解説します。
地中埋設物とは?
地中埋設物とは、ゴミ・コンクリートの塊・瓦など、地中に埋まっている廃棄物などのことです。また、水道管、ガス管、電力ケーブル、通信ケーブル、下水管や古代の遺跡や地下墓地、未発掘の考古学的遺物なども地中埋設物として扱われます。
地中埋設物は「地中障害物」と呼ばれることもあります。
自宅の建替えの際などは地中埋設物の撤去義務はありませんが、解体予定の建物と関係のない埋設物が発見されることもあります。解体業者は今ある建物を解体するための費用で解体を行っているので、新たに地中埋設物が発見された場合は追加費用がかかることがあります。
そのため、地中埋設物が埋まっている可能性があれば、事前に解体業者にその旨を連絡するようにしてください。
地中埋設物を撤去する理由
地中埋設物を撤去する理由は以下の通りです。
- ・売主に瑕疵担保責任が問われる可能性があるから
- ・売主に地中の埋設物を撤去する義務があるから
それぞれ解説します。
売主に瑕疵担保責任が問われる可能性があるから
瑕疵担保責任は、販売された土地や建物に隠れた欠陥(瑕疵)が存在する場合、売主が買主に対して責任を負うという法律です。
地中埋設物が存在していることを知っていながら地中埋設物について説明せずに土地を売却すると、瑕疵担保責任(契約不適合責任)が問われる可能性があります。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)が問われると、地中埋設物の撤去費用を請求されるだけでなく、損害賠償を請求されることもあります。
売主に地中の埋設物を撤去する義務があるから
埋設物が環境に悪影響を及ぼす可能性がある場合や、土地の活用方法に制限がある場合には、売主に地中の埋設物を撤去する義務があります。
地中埋設物がある場合には、リサイクル法に基づいて地中埋設物を撤去するようにしてください。
地中埋設物を調査する方法と費用
地中埋設物を調査する3つの方法と費用について解説します。
- ・地歴調査
- ・地中レーダー調査
- ・ボーリング調査
それぞれ解説します。
地歴調査
地歴調査は、土地の歴史的背景を調査する方法のことです。
地歴調査では、以前の土地の所有者、土地利用の歴史、古い地図や航空写真、公的記録などを調査します。土地がどのように利用されてきたか、どのような構造や埋設物が存在する可能性があるかを明らかにするために利用されます。
地歴調査は、簡易的なもので7万円~、一般的なもので15万円~、詳細に調査する場合は28万円程度~となります。
地中レーダー調査
地中レーダー(GPR)調査は、地中に埋まった地中埋設物を特定する調査方法のことです。
地盤中の空洞、ゆるみ、トンネルのコンクリート厚、背面の空洞。既設の埋設管(埋設物)の位置、深度、構造物の配筋を調査することができます。
費用は10万円~15万円程度です。
ボーリング調査
ボーリング調査では、穴を掘って地中埋設物や地盤の状況、地層境界の深度などを調べることができます。
地中レーダー探査で地中埋設物があると判断された場合に活用されることが多いです。
ボーリング調査の費用は30万円程度です。
地中埋設物の撤去相場費用
地中埋設物の撤去相場費用は以下の通りです。
種類 | 撤去費用相場 |
コンクリートガラ | 12,000円〜/m³ |
瓦・レンガ | 22,000円〜/m³ |
木くず | 5,000円〜/m³ |
石膏ボード | 12,000円〜/m³ |
カーペット | 16,000円〜/m³ |
タイル | 25,000円〜/m³ |
井戸解体埋め戻し | 30,000~50,000円/式 |
浄化槽撤去 | 30,000〜70,000円/基 |
解体業者によって費用は異なるので、詳細は解体業者にお問い合わせください。
また、東京都目黒区の株式会社上池解体興業では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造家屋・空き家・ビル・アパート」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。お見積もりは無料ですので、Webサイト上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。
地中埋設物で契約不適合責任に問われるケースとは
地中埋設物で契約不適合責任に問われるケースはあるのでしょうか。
実際の判例をもとに解説します。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任は、売買契約やサービス提供契約などの商取引において、契約の内容や約束された性能・条件と実際の商品やサービスの性能・条件が一致していない場合に発生する責任のことです。
地中埋設物の存在を買主に説明しておらず、契約書にも記載されていない場合には契約不適合責任に問われることがあります。
ここからは、契約不適合責任が問われた実際の判例について解説します。
契約不適合責任が問われた実際の判例
契約不適合責任が問われた実際の判例について解説します。
平成30年6月28日 東京高裁 裁判所ウエブサイト(原審 RETIO104-140)
この判例では、地中埋設物の撤去・除去費用の請求が認められました。
概要 | 物流ターミナル建設目的の土地に石綿含有産業廃棄物に該当するスレート片が大量に混入していたことは瑕疵であるとして、買主の売主に対する撤去・除去費用の請求が認められた事例 |
当事者・ 契約状況 | 売主:機械等製造販売業 買主:運送業(目的:物流ターミナル建設) 売買物件:土地・建物(工場・事務所) 売買金額:848億円 |
事案 | 買主が平成20年に引渡しを受けた購入土地について、平成22年12月に物流ターミナル等の建築 に着手したところ、地中より石綿を含有するスレート片が多数発見された。買主は、当該スレ ート片の存在は瑕疵にあたるとして、本件土地の土壌と通常の残土との処分費用の差額の負担 を売主に求めたが、売主は瑕疵にあたらないとして支払いを拒絶したため、当該土壌の撤去・ 処分費用等、計85億円余の損害賠償を求める訴訟を提起した。 |
裁判所 判示 | ・買主請求につき、表層部・工事予定の地中部の土壌の撤去・処分費用等59億円余を認容 ・石綿含有廃棄物に該当するスレート片が、本件土地の表層及び土壌内にまんべんなく混入し ていたことは、買主が予定していた物流ターミナル・公園の土地に予定していた品質・性能 を満たすものではないことは明らかであり、本件売買契約上の瑕疵にあたると認められる。 ・スレート片を分別して撤去・処分することが現実には困難であったと認められることから、 買主が土壌ごと撤去処分した処分方法の採用は不合理とは言えない。 |
引用:土壌汚染・地中埋設物と売主の瑕疵担保責任に関する裁判例について
平成30年6月14日 東京高裁 RETIO113-109
この判例では、地中埋設物の撤去費用の請求が認められました。
概要 | 地中埋設物について売主法人が悪意であったとして、売主の瑕疵担保を免責する条件で土地を購入した買主の撤去費用の請求が認められた事例 |
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当事者・ 契約状況 | 売主:食品製造販売業 買主:不動産業(目的:マンション建築) 売買物件:土地 売買金額: 2億8千万円 契約特約:売主は隠れた瑕疵について担保責任を負わない。 |
事案 | 売主は、昭和42年頃に本件土地上の工場等を解体して舗装を行い、以降事務所の敷地・有料駐 車場として使用していた本件土地について、平成24年12月に買主との間で売買契約を締結し、 平成25年2月に引渡した。なお、工場の解体等を行った当時の売主代表者は、平成21年9月に 代表を辞任したが、その後も取締役の地位にあった。平成25年12月、本件土地の地中よりコン クリート等の地中障害物が発見されたことから、買主は売主に対して撤去に要した費用1億円 余を請求したが、売主は瑕疵担保免責特約により負担義務はないなどとしてこれを拒んだ。 |
裁判所 判示 | ・買主の請求を認容。 ・売主において、昭和42年ごろの工場解体において、解体材の本件土地埋設を認識していたと 認められる当時の代表者が、本件土地の売却検討がされていた平成19年頃においても売主の 代表者であったことなどから、売主は地中埋蔵物について悪意であったというべきであり瑕疵担保責任を免れない。 |
引用:土壌汚染・地中埋設物と売主の瑕疵担保責任に関する裁判例について
平成30年3月29日 東京地裁 RETIO114-102 ウエストロー ・ジャパン
この判例では、地中埋設物の賠償請求が認められました。
概要 | 建物建築の障害となる地中埋設物について売主業者は把握し得たとして買主の賠償請求を認め、媒介業者については売主の物件状況説明書に加えて調査すべき義務まではないとした事例 |
当事者・ 契約状況 | 売主:不動産業 買主:個人(目的:自宅建物建築) 売買物件:土地 売買金額:7億円 契約特約:①売主の瑕疵担保責任期間は2年以内とする、②建物建築の際に地盤改良工事等が 必要となってもこの費用等は買主の負担とする。 その他:売主作成の物件状況説明書におい て、敷地内残置物・旧建物廃材等に丸は付されていない。 |
事案 | 売主は、平成19年3月に購入した本件土地について、旧建物の取壊しを行った後、媒介業者を 介して買主に売却し平成20年7月に引き渡した。平成24年10月頃、買主が自宅建築に着手した ところ、地中に建物建築の障害となる旧建物の土間スラブやコンクリートガラ等の地中埋設物 があったことから、売主及び媒介業者に対して、買主が支出した地中障害物の除去及び地盤改 良工事費用、変更工事検討費用、工期延長に伴う家賃、弁護士費用等、計2480万円余を請求し た。売主は瑕疵担保責任期間が経過している、また、媒介業者は地中障害物についてまでの調 査義務はないと主張した。 |
裁判所 判示 | ・買主の売主に対する計2480万円余の請求を認め、媒介業者に対する請求を棄却。 ・売主に対する請求:旧建物の解体を解体業者に依頼し、本件土地に建物解体に伴う解体ガラ 等が存していることを把握し得た売主には、正確な情報を告知・説明する義務違反があり、 売主は不法行為に基づく損害賠償義務を負う。 ・媒介業者に対する請求:売買契約時には更地化されていた本件土地について、宅建業者であ る売主が物件状況等報告書において敷地内残存物はない旨を説明していることから、これに 加えて媒介業者が独自にその真偽等について調査すべき義務が発生するとは言い難い。 |
引用:土壌汚染・地中埋設物と売主の瑕疵担保責任に関する裁判例について
地中埋設物によるトラブルを防ぐ方法
地中埋設物によるトラブルを防ぐ方法は以下の通りです。
- ・重要事項説明書などに地中埋設物について記載する
- ・免責特約をつける
- ・信頼できる解体業者に依頼する
それぞれ解説します。
重要事項説明書などに地中埋設物について記載する
土地や建物の売買を行う際には、売主は重要事項説明書や他の契約書類に地中埋設物に関する情報を明記するようにしましょう。地中埋設物の種類、位置、状態、撤去や修理の必要性などについて記載することをおすすめします。
免責特約をつける
免責特約は、売主が地中埋設物に関連する特定の責任を免除されるという契約のオプションです。
免責特約を設けることで、「地中埋設物によって引き起こされるトラブルに対する責任を負わなくてよい」と定めることができます。
信頼できる解体業者に依頼する
解体工事中に地中埋設物が出てきたら、業者から施主へ報告して地中埋設物を撤去することが一般的です。
しかし、解体業者の中には施主に報告しないで地中に地中埋設物を埋めてしまう業者もいます。そのため、きちんと地中埋設物を報告してくれる信頼できる解体業者に依頼することが大切です。
また、解体業者に依頼するときは、「地中埋設物が見つかったときは連絡してください」と伝えるようにしましょう。
まとめ
本記事では、地中埋設物の基本知識から地中埋設物を撤去する理由、地中埋設物を調査する方法と費用、地中埋設物で契約不適合責任に問われるケース、地中埋設物によるトラブルを防ぐ方法について解説しました。
地中埋設物でのトラブルを防ぐためにも、土地の売却をする前に地中埋設物を撤去するようにしてください。
また、東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造家屋・空き家・ビル・アパート」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。お見積もりは無料ですので、Webサイト上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。
千葉・埼玉・神奈川・東京の住宅解体
会社名:株式会社 上池解体興業(ボッコス/BOCCOS)
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