解体工事の看板設置は義務?書かれる内容や法律をわかりやすく解説
解体工事では、「標識」や「掲示板」と呼ばれる看板の設置が義務付けられています。とはいえ「なぜ設置する必要があるの?」「設置する看板は何でもいいの?」などと、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、解体工事の看板を設置する理由や書かれている内容、罰則を紹介します。解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」がわかりやすく責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
解体工事での看板設置は義務づけられている
解体工事において看板の設置は、法律で義務付けられています。
そのため看板を設置していない解体工事は、法律を守れない悪質な業者による可能性が高いため注意が必要です。
また解体工事の看板は、単なる工事に関する情報開示だけではなく、近隣対策を強化するためなど工事をスムーズに進めるうえで重要な役割を持ちます。
この章では、解体工事現場における看板設置の意味を紹介します。解体工事関連の知識を深めるためにも、それぞれチェックしておきましょう。
近隣住民からのクレーム対策
解体工事に関する情報がしっかりと記載されていることで、近隣住民からのクレーム対策につながります。情報を提示できる業者であるとして、近隣住民の方が安心し不信感からくるクレームを減らせるからです。
そのため近隣対策を強化するうえでも、看板の設置はとても重要です。
無届・無許可業者の抑制
看板の設置を義務付けることで、無届・無許可業者の抑制も可能です。監視の目が増え、近隣住民や施主からも通報されるようになるため好き放題にできなくなるからです。
依頼者側や周辺住民が悪質な解体業者に巻き込まれないようにするうえでも、解体工事の看板は重要な役割を持ちます。
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作業中の事故防止
「立ち入り禁止」の看板の設置を義務付けることで、作業中の事故を防止する役割もあります。関係者以外が危険な解体現場に立ち入るのを防げるため、重機との接触事故を減らすことが可能です。
周辺住民との事故を未然に防ぐうえでも、看板を設置する必要があります。
解体工事の看板設置を義務付けている法律・条例
ここでは、解体工事の看板設置を義務付けている法律と条例を紹介します。各法律で記載されている内容を簡単に確認しておきましょう。
建設業法
建設業法とは、解体業を含む建設に携わる業者が守るべきルールが記載された法律です。建設業法の「標識の掲示」では、以下のように記載があります。
建設業者は、建設工事の現場ごとに公衆の見やすい場所に、建設業の名称・一般建設業又は特定建設業の別・その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない
参照:建設業法第40条/国土交通省
上記のように、建設業法では解体工事の看板に対して「設置位置・記載内容」を指定しています。工務店やハウスメーカーなどの元請け業者だけではなく、下請けの解体業者も建設業法に従って掲示が必要です。
関連記事:解体工事には免許がいる?プロが良い業者の見極め方や注意点を解説
建設リサイクル法
建設リサイクル法とは、解体工事で発生する資材の再資源化に関する法律です。建設リサイクル法の「標識の掲示」の項目では、以下のように定めています。
解体業者は、工事現場において公衆の見やすい場所に、商号・名称・氏名・登録番号・その他主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない
参照:建設リサイクル法第33条/国土交通省
建設リサイクル法では「解体工事業」を取得している業者に対して、解体現場で設置する看板の「設置位置と記載内容」を指定しています。
大気汚染防止法
大気汚染防止法とは、アスベストを含む建築物の解体工事に関するルールを定めた法律です。
アスベストを撤去する場合に、「アスベストの事前調査の内容と撤去作業の実施内容」を記載した看板の設置を義務付けています。指定されている具体的な内容は、以下の通りです。
- ・事前調査の方法
- ・調査箇所・それぞれの結果
- ・撤去作業の期間
- ・撤去作業の方法
- ・飛散防止対策の方法
実家や自宅の解体工事でアスベストの撤去も行う場合には、上記が記載された看板があるかどうか確かめてくださいね。
関連記事:解体工事のアスベスト調査義務化はいつ?費用や罰則をプロが解説
石綿障害予防規則
石綿障害予防規則とは、労働安全衛生法に基づいてアスベストの取り扱い規則を記載したものです。以下のように石綿障害予防規則では、アスベストの除去作業現場にて「立ち入り禁止」の看板を設置するように明記しています。
事業者は、アスベストを取り扱う作業場において関係者以外が立ち入ることを禁止する旨を見やすい箇所に表示しなければならない
参照:石綿障害予防規則第15条/厚生労働省
また、以下の事項を掲載する必要がある旨も記載されています。
- ・アスベストを取り扱う作業場であること
- ・アスベストが原因で生じ得る疾病の種類とその症状
- ・取り扱いの注意事項
- ・作業場においては保護具を使用する旨と使用すべき保護具
参照:石綿障害予防規則第15条/厚生労働省
大気汚染防止法で指定されている看板に加えて、上記の2種類の看板があるかどうかも合わせて確認するようにしましょう。
各地方自治体の条例
各地方自治体の条例でも、解体工事の看板に対して内容が細かく決められています。例えば、以下のように同じ東京都でも地区ごとに記載内容が異なります。
地区名 | 解体工事に関する記載内容例 |
中央区 | ・敷地の位置 ・解体建築物の概要(延べ面積・高さ・階数・構造) ・発注者の住所と名前 ・施工者の住所と名前 ・連絡先 |
中野区 | ・解体建築物の概要(床面積・階数・築年数) ・工事期間 ・標識設置年月日 ・施工者の住所と名前 ・連絡先 |
地方で有名な解体業者であれば、その地域の条例に詳しいため看板トラブルを避けるうえでは、地方の中小解体業者を選ぶのも一つの方法です。
関連記事:解体業者は大手と中小どっちが良い?違いやメリット・デメリットを解説
解体工事の看板に義務付けられている掲載内容・サイズ
解体工事の看板では掲載内容やサイズが決まっており、解体業者は各法律の規定を守る必要があります。ここでは、解体工事の看板に義務付けられている掲載内容・サイズを紹介します。
建設業看板
建設業法で指定されている掲載内容と指定サイズは、以下の通りです。
建設業許可業者の看板の掲載内容 | 指定サイズ |
・商号または名称 ・代表者の名前 ・主任技術者もしくは監理技術者の氏名とそれぞれが持つ資格名 ・一般建設業もしくは特定建設業 ・許可を受けた建設業 ・許可番号(国土交通大臣許可 第○○号) ・許可年月日 | ・縦:25センチ以上 ・横:35センチ以上 |
建設業許可は「一般と特定」の2つの区分に分かれており、現場に掲げる看板には解体業者が取得している区分の「許可番号・許可年月日」を記載しなければなりません。
解体工事業看板
解体工事業許可は、500万円未満の解体工事を請け負う業者に必要な許可です。解体工事業許可を得ている業者は、建設リサイクル法で指定される「解体工事業標識」を施工現場に設置する必要があります。
具体的には、以下の内容が記載された看板の掲示が義務付けられています。
解体業許可業者の看板の掲載内容 | 指定サイズ |
・商号、名称または指名 ・技術管理者の氏名 ・登録番号(○○県知事 第○○号) ・代表者氏名 ・登録年月日 | 縦:25センチ以上 横:35センチ以上 |
「登録番号」は、解体工事業登録を済ませている証明になります。そのため信頼できる業者かチェックする際は、看板に記載されている登録番号が正しいかどうかを調べると良いでしょう。
アスベスト看板
アスベストの撤去作業時には、立ち入り禁止を知らせる看板に加えて、事前調査結果や作業内容を記載したものなど、複数の看板を設置する必要があります。
アスベストの事前調査に関する看板では、以下の内容の記載が指定されています。
アスベストの事前調査に関する看板の掲載内容 | 指定サイズ |
・調査方法 ・調査した建築物名と箇所 ・発注者からの通知(設計図書など) ・調査の結果 ・調査終了年月日 ・解体業者と調査者、分析者の指名 | A3サイズ以上 |
事前調査の看板は、アスベストのレベルによらず共通です。一方でアスベスト撤去作業の内容を知らせる看板は、届出対象と対象外で異なる看板を掲げる必要があります。
届出対象のアスベスト作業に関するお知らせを掲示する際は、以下の内容を記載した標識の掲示が必要です。
アスベスト撤去作業の看板の掲載内容 | 指定サイズ |
・労働基準監督署届出年月日 ・都道府県、市役所届出年月日 ・作業期間 ・届出内容 ・アスベスト粉じん飛散防止措置の概要 ・表示日 ・施工業者名と連絡先 ・現場責任者名と石綿作業主任者名 | A3サイズ以上 |
一方で届出対象外の場合には各行政への届け出が不要になるため、上記の内容のうち「労働基準監督署届出年月日・都道府県、市役所届出年月日」の記載が不要です。
アスベストの危険レベルによって必要になる看板が異なるため、適切な看板が掲示されているかどうか施主側も注意してチェックするようにしましょう。
関連記事:アスベスト解体工事の手順は?危険レベル別の除去方法や注意点も解説
建設リサイクル法届出シール
建設リサイクル法届出シールとは、建設リサイクル法に基づく届出が無事に受理された場合に配布されるシールのことです。対外的に届出済みの業者であることを証明するために、建設業の許可票など、目立つ場所に貼る必要があります。
地域によって多少異なりますが、届出シールの掲載内容と指定サイズは以下の通りです。
建設リサイクル法届出シールの掲載内容 | 指定サイズ |
・建設リサイクル法届出・通知済み ・受付日 ・受付番号 | 縦:2〜3センチ程度 横:5〜6センチ程度 |
記載内容やサイズは各自治体で規定のものが渡されるため、届出シールをチェックする際は貼る場所に注目すると良いでしょう。
関連記事:家の解体工事に必要な手続きは?損をしないための注意点も解説
解体工事の看板義務を守らない場合の罰則をチェック!
解体工事の看板は設置が法律で義務付けられているため、守らない場合には罰則が科されます。標識を掲げていない場合は、建設業法の違反対象となるため「10万円以下の過料」が適用されます。
施主に対する直接的な罰則規定はありませんが、業者が罰則対象になると工期遅延が発生するなどの影響があるため、施主も業者の標識や看板をチェックしておきましょう。
解体工事の看板義務に関する注意点4つ
ここでは、解体工事の看板義務に関する注意点を4つ紹介します。施主に関係がある内容をまとめているので、参考にしてみてくださいね。
1.施主の個人情報は記載しなくていい
解体工事の看板では業者の電話番号など業者側の個人情報掲示は必要ですが、施主の個人情報は記載する必要はありません。
そのため名前以外に電話番号やメールアドレスの情報を掲示されたり、許可なく名前以外の個人情報が記載されたりする場合には、悪質な業者による可能性があります。看板の写真を持って、速やかに自治体や消費者センターに相談するようにしましょう。
2.アスベストがない解体工事でも看板の設置が必要
アスベストがない建築物の解体工事でも、「含有建材がない」旨を記載した看板の設置が必要です。具体的には、アスベストの使用状況を知らせる項目で、「アスベスト建材は使用されていませんでした」と明記する必要があります。
アスベストの事前調査結果の掲示は義務付けられているため、アスベストがない家を解体するときに掲示がない場合には自治体などへ問い合わせましょう。
3.看板がない場合には第三者に相談する
解体現場で看板が確認できない場合に、解体業者へ直接問い合わせるのはおすすめしません。法を守れない悪質性が高い業者の可能性があり、トラブルが大きくなるリスクがあるからです。
そのため解体業者に直接相談するのは避け、自治体や元請け、消費者センターなどの第三者にまずは相談するようにしましょう。
4.看板の設置タイミングに合うように届出手続きを済ませる
解体工事の看板は、直前に設置すれば良いわけではありません。例えば、木造建築物の解体工事やアスベストの除去作業を行う場合には、一般的に「工事着手の7日前」までに設置する必要があります。
また看板の設置と同じタイミングで、「建設リサイクル法の届出シール」も貼付する必要があります。建設リサイクル法の申請処理は施主が行う必要があるケースもあるため、看板の設置タイミングに手続きを間に合わせるようにしましょう。
関連記事:家の解体工事に必要な手続きは?損をしないための注意点も解説
解体工事の看板トラブルを避けるには業者選びが重要
解体工事の看板トラブルを避けるうえでは、業者選びがもっとも重要です。
ハウスメーカーや不動産会社など、解体が専門でない業者は法律や条例に詳しくないため、間違った方法で設置してしまうケースも。一方で優良な解体業者は、解体関連の知識と経験が豊富なため適切に設置してくれます。
解体工事をスムーズに行ってもらうためにも、複数の業者の見積もりを比較して、優良業者を探しましょう。
関連記事:家の解体業者の損しない選び方!トラブルを避ける方法も解説
まとめ
解体工事では公衆が目視で確認できる位置に、看板を設置することが義務付けられています。
看板への記載内容は、建設業法や各地方自治体の条例で細かく決められており、規定を守らない場合には罰則が下されるケースも。そのため看板関連のトラブルを回避するうえでは、解体に関する豊富な知識と経験を有する「解体業者」への直接委託がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東エリアにおいて木造家屋などの解体工事を承っており、難しい解体工事の実績も豊富です。また当社では丁寧なサービス対応を心がけておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは完全無料ですので、当社ホームページに掲載している「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。
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