未登記の建物とは?建物の解体する際の流れまで詳しく解説!
「親から相続された建物が未登記の場合に解体できるのだろうか…?」とお悩みを抱えていませんか?結論からお伝えすると、未登記の建物でも解体はできます。
しかし、トラブルになる恐れがあるため、未登記の建物を解体する場合の手順を学んでおきましょう。今回は未登記の建物を解体する場合の手順をご紹介します。建物を解体してトラブルを起こさないためにも、この記事をお読みください。
未登記の建物とは
未登記の建物とは、法務局が管理する帳簿に登記情報が記載されていない建物のことです。
「土地・建物に関する情報」「所有者の情報」「権利に関する情報」が記載されていないため、抵当権が設定できず不動産売買などの取引が制限されるなど、さまざまな問題が生じます。
建物の登記がされていないパターンには、以下のようなパターンがあります。
[建物の登記がされていないパターン]
- 家を建てるときに現金一括で支払った
- 増築部分の登記を忘れた
- 相続や贈与をしたにも関わらず、所有者の情報の変更を忘れた
未登記の建物を解体する際の注意点
未登記の建物でも解体できますが、所有者の有無は確認してください。なぜなら、所有者の許可なく解体すると建造物損壊罪という犯罪に問われて、5年以下の懲役 が科せられます。
また、所有者から建物を壊された精神的慰謝料として損害賠償金が請求されてしまうかもしれません 。そのため、未登記の建物を解体する際には、本当に他の人が所有していないかを登記事項証明書などで確認しましょう。建物の所有者を確認する方法は2通りあります。
法務局で登記事項証明書を取得する
建物の登記情報は、法務局で「登記事項証明書」を取得すれば確認できます。
登記簿謄本や登記簿抄本でも建物の所有者情報を確認できますが、登記事項証明書の方が情報量は多いため詳しく調べられます。
法務局で登記事項証明書を取得する際に必要なものはありません。登記事項証明書1通につき480~600円の手数料が必要です。
〈登記事項証明書の取得方法と手数料〉
- 法務局に登記事項証明書を請求する場合:600円
- 登記事項証明書を郵送してもらう場合:500円
- 登記事項証明書をオンライン請求する場合:480円
固定資産税の納税通知書を確認する
未登記の建物の場合は、自治体が所有者と判断した人に納税通知書を郵送しています。そのため、毎年4~5月頃に固定資産税の納税通知書が郵送されている場合は、建物の所有者に該当します。
未登記の建物でも固定資産税は課税され支払わなければいけません。
未登記の建物を解体する際の流れ
未登記の建物を解体する際の流れをまとめると、以下の通りです。
- 1.建物の登記情報を確認する
- 2.解体工事業者に見積もり依頼する
- 3.解体工事契約書を締結する
- 4.近隣挨拶を行う
- 5.滅失登記手続きを行う
ここでは、 各手順について詳しく解説します。
建物の登記情報を確認する
建物の登記情報は、法務局で「登記事項証明書」を取得すれば確認できます。建物の所有者の有無は必ず確認しましょう。
また、親族や近隣住民にヒアリングをして、建物の相続や贈与が約束されている人がいないかどうかを確認する方法もおすすめします。また、親戚同士で集まり未登記の建物を解体してよいか同意を得ておくとトラブルを防げます。
解体工事業者に見積もり依頼する
解体工事業者にお問い合わせをして見積もりを依頼します。解体工事は依頼したら、すぐに工事に着手してもらえるわけではありません。そのため、解体工事希望日の3ヵ月前から見積もり依頼を始めることをおすすめします。
現地調査して見積書を作成すします。そのため、現地調査で立ち会い、信頼できる解体工事業者であるか見極めることが大切です。見積書を受け取ったら、内訳が細かく記載されているかを確認してください。
見積書のチェック項目について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『解体工事の見積もり総まとめ!チェック項目や事例をわかりやすく解説』
解体工事の費用相場
解体工事業者に見積もりを依頼する際に高額請求されないためにも費用相場を理解しておきましょう。
・30坪の住宅の解体工事の場合
木造住宅 | 90~150万円/坪 |
鉄骨住宅 | 120~180万円/坪 |
RC造住宅 | 180~240万円/坪 |
※上記は参考価格です。解体工事業者で解体費用は大きく異なるため、詳細見積もりを取得してみてください。
30坪の住宅の解体費用相場、内訳など詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『30坪の木造住宅を解体する費用相場は?単価や内訳をわかりやすく解説』
解体工事契約書を締結する
解体工事契約書を締結する際は、契約書の内容を確認します。契約書で確認しておきたい箇所は4カ所あります。
(1) 支払い方法
解体工事は前払金を支払うのが一般的です。前払金を支払わなければ解体工事を行ってもらえないため、前払金と支払期日を確認してください。また、解体工事の追加費用が発生した場合は施主と業者で協議した上で決めると記載されているかを確認しましょう。
(2) 解体工事の延長や中断
解体工事会社の都合で延長や中断する場合は、書面で説明して施主と業者で協議を行うと記載されているか確認しましょう。
(3) 第三者トラブル時の賠償
解体工事トラブルは、細心の注意を払ってもトラブルが発生する恐れがあります。第三者とのトラブルが発生した場合の損害賠償についてよく確認しておきましょう。損害賠償を見据えて損害賠償保険に加入している解体工事業者と契約することをおすすめします。
(4) 工事完了後の引き渡し
解体工事を終えたから何日後に土地を引き渡してもらえるかを確認しておきましょう。
解体工事の契約書のチェックポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『解体工事の契約書6つのチェックポイント!不備による罰則も解説』
近隣挨拶を行う
解体工事を行う7~10日前に近隣挨拶を行います。解体工事業者だけでなく施主も同行して誠意を伝えると近隣住民の方の協力が得られやすいです。
解体工事に関する情報(工事の名称、工事の場所、工期、施主の名前、連絡先、伝達事項)を記載した挨拶状と、500~1,000円程度の粗品を渡します。
近隣挨拶の方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『家の解体工事前の挨拶に粗品は必要?失敗しない7つの品物を紹介!』
解体工事を行う
解体工事は2週間程度で終わります。解体業者が以下の流れで作業を進めていきます。
【解体工事作業の流れ】
- 1.足場設置と養生組み立て作業
- 2.アスベストの除去作業
- 3.瓦や屋根の撤去作業
- 4.石膏ボード・窓ガラス・畳などの建物内部を手作業で撤去
- 5.重機の搬入
- 6.重機を使って柱等の建物本体の解体
- 7.基礎部分の撤去
- 8.廃棄物の運搬・処分
- 9.足場や養生の撤去
- 10.地中障害物撤去
- 11.重機の搬出
- 12.コンクリート片・木片の分別撤去
- 13整地と清掃
解体工事の流れに関して詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『家解体の手順とは?工事の流れ、施主が行う手続きをわかりやすく解説』
家屋滅失届を提出する
未登記の建物を解体した場合は、市区町村に家屋滅失届を提出します。市役所のホームページから家屋滅失届がダウンロードできます。家屋滅失届を提出することで、建物の固定資産税が請求されなくなります。
土地の登記手続きを行う
未登記の建物を壊した後で、土地の登記手続きを行いましょう。土地の登記手続きを行うことで、建物を建て直したり、土地を売却したりできるようになります。土地の場合は「土地の価格」×1.5%で登記費用が必要です。
土地の登記手続きは複雑な手続きのため、司法書士や土地家屋調査士へ依頼することをおすすめします。
建物を解体した後に登記すべき理由
未登記の建物を解体した後に不動産登記の手続きを行いましょう。建物を解体した後に登記すべき理由は4つあります。
土地の所有権を証明できる
未登記の建物を解体した後に登記手続きを行わなければ、土地の所有権は先代名義のままです。土地の所有者は自分であると法的に証明できません。
例えば、先代名義の所有権をAとBで所有することになり、Aは登記手続きを行わなずに、Bは登記手続きを行った場合を考えてみましょう。BがCに土地を売却した場合は、AはCに法定相続分を主張できますが、土地を取り戻せなくなります。
このようなトラブルを防ぐために、登記手続きを行い、土地の所有者は自分であることを法的に証明しておきましょう。
土地の売却が難しくなる
土地の登記手続きを行わなければ、土地売却がしにくくなります。なぜなら、土地の買主側が住宅ローンを組んで土地を購入する場合は、不動産を担保にしなければいけません。つまり、土地の所有権の移転が必要になります。
しかし、未登記の土地の場合は所有権移転ができません。つまり、買主は住宅ローンを使用できず現金一括払いでしか土地を購入できません。現金一括払いを選択する買主は少ないため土地の売却に時間がかかります。
融資が受けられない
土地の登記手続きを行わなければ、土地に新たな建物を建てる場合に住宅ローンの融資が受けられなくなります。なぜなら、住宅ローンの融資を受ける場合は不動産登記簿謄本を提出しなければいけず、未登記だと必要な書類が用意できないためです。
住宅ローンを組むための担保がないとみなされてしまいます。
10万円以下の罰金を支払わなければいけない
未登記の不動産が問題になっており、2021年から相続時に不動産の登記手続きが義務化されることになりました。背景には、10年以上にわたり登記されないまま被相続人が何代もさかのぼるケースが増えたことが挙げられます。
そのため、相続で不動産を取得してから3年以内に登記手続きをしなければいけません。この法律に違反した場合は10万円以下の罰金が課せられます。
未登記の建物を解体する際によくある質問
未登記の建物を解体する際によくある質問にご回答します。
Q.未登記の建物を解体する際の依頼先の選び方は?
未登記の建物を解体する場合は、サポート力の高い解体工事業者に依頼することをおすすめします。
なぜなら、所有者の許可なく解体すると建造物損壊罪という犯罪に問われてしまう可能性があるためです。そのため、親身に相談に乗ってくれる解体工事業者を選ぶことをおすすめします。
Q.未登記の建物解体で利用できる補助金はあるの?
未登記の建物解体で利用できる補助金はありますが、市区町村で異なります。代表的な補助金には、以下のようなものがあります。
[代表的な補助金]
- ・老朽危険家屋解体撤去補助金
- ・危険廃屋解体撤去補助金
- ・木造住宅解体工事費補助事業
市区町村で補助金は異なります。そのため、解体工事現場を管轄する市区町村の公式ホームページをご覧ください。
老朽危険家屋解体撤去補助金について詳しく知りたい方は、下記の記事をお読みください。
関連記事:『老朽危険家屋解体撤去補助金制度とは?補助額や受給条件、申請方法を解説』
まとめ
未登記の建物とは、法務局が管理する帳簿に登記情報が記載されていない建物のことです。未登記の建物でも解体できますが、所有者の有無を必ず確認してください。
なぜなら、所有者の許可なく解体すると建造物損壊罪という犯罪に問われて、5年以下の懲役が科せられます。また、建物を解体した後に不動産登記をしなければ、建物の建て直しや売却ができません。そのため、未登記の建物の解体工事を依頼する際はサポート力のある解体工事業者を選びましょう。
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