アスベスト入りの壁は塗装していい?危険性やメンテナンス方法を紹介
アスベストが含まれている壁を塗装しても基本的には問題ありません。
とはいえ「自分で塗装しても大丈夫?」「壁のメンテナンスで注意すべきことは?」と、
不安や疑問がある方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、アスベストが使用されている壁のメンテナンス方法や飛散防止対策が必要なケース、塗装工事を依頼するときのポイントについて紹介します。解体工事のプロである「株式会社上池解体興業」が初めての方にもわかりやすく責任を持ってご説明しますので、参考にしてみてください。
アスベストが含まれる外壁は塗装できる
アスベストが含まれている外壁でも、一般的な壁と同じように塗装できます。塗装はアスベストが飛散するような作業ではないからです。
実際のところ中央労働基準監督署の「石綿含有仕上げ塗材にかかる措置」においても、塗装は外壁を傷つけるような作業ではないため「監督署への届出義務や飛散防止対策等の必要な措置はない」と記載されています。(参照:中央労働基準監督署の「石綿含有仕上げ塗材にかかる措置」)
ただし劣化が激しい古い家の壁は、塗装前の「高圧洗浄」で壁が崩れてしまいアスベストが飛散してしまう可能性も。そのため安全に塗装をするのであれば、事前に「アスベストの知識を有する業者」に相談してから行うことをおすすめします。
外壁でアスベストが使用される具体的な箇所
外壁でアスベストが使用されるのは、「壁の内側」と「外側の塗装部分」の2ヵ所に大きく分けられます。
安全に塗装をするうえで、アスベスト含有の可能性が高い「外壁材の種類や場所」を知っておきましょう。
アスベストが使用される部分 | 建材名 |
外壁の内側 | ・窯業系サイディング ・建材複合金属系サイディング ・押出成形セメント板 ・スレート板・波板 ・モルタル ・けい酸カルシウム板第1種 |
外壁の外側(塗装) | ・リシン吹き付け ・スタッコ吹き付け ・吹き付けタイル ・建築用下地調整塗材 |
塗装部分においては、複数の層に使用されているケースも報告されています。
外壁にアスベストがあるか自分で調べる方法
では、塗装中に慌てることがないように、「外壁にアスベストがあるかどうかを自分で調べる方法」について以下の表にてチェックしておきましょう。
調べる方法 | 調べ方の詳細 |
石綿データベースを使う | 国交省および経産省が運営する「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で、外壁の「商品名・製造メーカー名・型番・年数」からアスベスト含有の有無を調べる |
企業のホームページで調べる | ・外壁の製造メーカー名がわかる場合には、アスベスト入りの商品を製造・販売していた企業ホームページを検索して確かめる ・ただし合併されている企業が多く、現在のメーカー名とは異なる場合が多いため注意 |
家の設計図書で確認する | 家の設計図書や仕様書、仕上表に記載されている「建材名や製品名」を探し、アスベスト建材の有無を確かめる |
上記の方法により自分で調べることも可能ですが、より正確にアスベストの使用を調査したいなら、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持っている専門業者に依頼することをおすすめします。
【自分で塗装する前にチェック】アスベスト飛散防止対策がいる・いらない工事例
外壁に含まれるアスベストは原形のままであれば飛散するリスクが低いことから、「環境省のマニュアル」でも飛散防止対策が不要とされているケースもあります。以下の表にて、「アスベストの飛散防止対策がいる例といらない例」をそれぞれ確認しておきましょう。
飛散防止対策が「いる」 | 飛散防止対策が「いらない」 |
・電動工具でアスベストが含まれる外壁部分を削る工事 ・張り替え等の既存の外壁を撤去する工事 ・建物の解体工事・改修工事でアスベスト含有仕上塗材を除去する場合 ・足場を組み立てるために「壁つなぎ」を行う場合 | ・外壁の表面上の汚れを洗浄する ・既存塗装の上から新しく塗装する作業 ・既存の外壁を除去しない作業 |
例えば塗装で足場を組むときに「脚立足場」であれば、飛散防止対策は必要ありません。一方で「壁つなぎ」のように外壁に穴をあける方法で足場を設置する場合には、適切な対策が必要となります。
したがって塗装という行為は同じでも、飛散防止対策における「いる・いらない」の判断が時と場合によって異なるため注意が必要です。
アスベストがある壁のメンテナンス方法
アスベストがある壁のメンテナンスは、壁の状態や劣化具合によって適切な方法で行う必要があります。ここでは「アスベストがある壁のメンテナンス方法」について、以下の3つを紹介します。
塗装
「塗装」は、アスベストがある外壁の表面を新しい塗料で塗り替えるメンテナンス方法です。
アスベスト自体を取り除くわけではなく目先の補修方法であるため、いずれアスベストの除去工事が必要となる点に注意が必要です。
カバー工法
「カバー工法」は、アスベスト入りの外壁材の上から新しい外壁材を張り付けるメンテナンス方法です。
アスベスト入りの外壁材はそのまま使用する方法であるため、塗装と同じく長く住み続けるうえではいずれ外壁の解体をすることになります。
張り替え
「張り替え」は、アスベストが使われている外壁材を撤去し、新しい外壁材に取り替えるメンテナンス方法です。
アスベストによる健康被害のリスクをゼロにできる補修方法です。特に持ち家の場合には、長く住み続けるうえでアスベストを完全に除去し、安全な壁に替えてしまう方が良いでしょう。
アスベストを含む外壁の除去手順
アスベストが使用されている外壁の張り替え工事を行う場合には、アスベストの除去工事が並行して行われます。ここでは「アスベストを含む外壁の除去手順」について、以下の流れで紹介します。
- 1.解体業者への問い合わせ〜契約
- 2.業者によるアスベスト含有の事前調査・ヒアリング
- 3.事前調査内容の報告
- 4.事前作業
- 5.アスベストの除去作業
- 6事後作業
施主側が行うことも解説するので参考にしてみてください。
1.解体業者への問い合わせ〜契約
アスベストを含む外壁の撤去を行うためには、まず「解体業者へ問い合わせ」をする必要があります。基本的に本契約前までは無料サービス内で対応してもらえるため、気になる業者があれば積極的に問い合わせをしてみましょう。
候補となる業者の見積書やホームページ情報を比較して、最終的に「1社と契約」を結びます。
2.業者によるアスベスト含有の事前調査・ヒアリング
契約手続きの次は、「業者によるアスベスト含有の事前調査」です。事前調査では外壁にアスベストが含まれているかどうかを確認するために、現場で検体が採取され、アスベスト含有率の分析が実施されます。
また事前調査時には「施主に対するヒアリング調査」も行われます。ヒアリングでは家が建てられた当時の状況やアスベスト使用建材の確認があるため、調査依頼前に図面等の情報を整理しておくとスムーズです。
3.事前調査内容の報告
業者によるアスベストの事前調査が完了すれば、「施主に対して事前調査内容の報告」が書面上で行われます。アスベストの含有有無や分析方法、届出の要否などがまとめられています。
なお発注者に対する事前調査の結果報告は、業者に義務付けられているものです。そのため調査からしばらく経ってもなにも報告がない場合には、速やかに業者へ連絡するか、消費者センターへ相談しましょう。
なおアスベストの事前調査については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→『解体工事のアスベスト調査義務化はいつ?費用や罰則をプロが解説』
4.事前作業
アスベストの除去作業前には、飛散防止対策を徹底するための「事前作業」が行われます。具体的には「作業内容の掲示・作業計画の作成・近隣住民への挨拶まわり・隔離養生」が義務付けられており、外壁に含まれるアスベストの状態等により内容が少し違います。
また事前作業のうち「挨拶まわり」は、近所の人からのクレームをなくすうえで施主自らも行うことをおすすめします。挨拶まわりのポイントは、こちらの記事をチェックしてみてください。
→『家の解体工事前の挨拶に粗品は必要?失敗しない7つの品物を紹介!』
5.アスベストの除去作業
必要な準備ができれば、「アスベストの除去作業」の開始です。アスベストの除去方法は、アスベストの種類や劣化状態によって変わります。例えば「アスベスト含有仕上げ塗装」の除去作業では、除去表面を水やスプレーを用いて「湿潤化」させながら、専用の手工具や高圧水洗など専用工具を用いて行われます。
アスベストの除去作業はこまかく決められたマニュアルに従って行われるので、安心してくださいね。
6.事後作業
除去作業後には、アスベストが外部へ飛散しないように「事後作業」と呼ばれる工程が行われます。事後作業の内容は以下の通りです。
- 1.作業内の清掃
- 2.石綿作業責任者による取り残し確認
- 3.仕上げ清掃
- 4.隔離養生の撤去
- 5.作業記録作成
- 6.発注者への完了報告
なお事前調査と同じく、「発注者への報告」は業者に義務付けられています。報告書面にて実施内容が明確に記載されていない場合には、業者に確認を取るようにしましょう。
外壁のアスベスト含有調査・除去にかかる費用相場
アスベストを含む外壁の解体工事には、いくらかかるかご存じでしょうか?以下の表にて「木造家屋の外壁に含まれるアスベストの含有調査・除去にかかる費用相場」について、確認しておきましょう。
アスベスト含有調査の費用相場 | アスベスト除去にかかる費用相場 |
約1~5万円 | 約30〜50万円 |
対象の調査・除去面積が大きくなればなるほど、それぞれの費用が高くなる傾向にあります。また高度なアスベスト飛散防止対策が必要になる場合には手間や処理費が増える分、外壁除去工事の相場よりもかなり高額になります。
なおアスベストの調査に必要な費用相場は、こちらの記事で詳しく解説しています。
『面積・構造でアスベスト調査費用が変わる!内訳から安くする術を紹介』
アスベストが含まれる外壁の塗装・除去工事を依頼する時のポイント
アスベストがある外壁の塗装は一般的な塗装とは異なる手順が必要になる場合があるため、業者に依頼するときに注意すべきポイントがあります。
1.外壁工事が得意な業者に依頼する
壁の状況によっては、難易度が高い工事が必要になるケースも。
そのためアスベスト入りの外壁工事に関する実績や、高い技術を持つ業者に依頼すると良いでしょう。
業者を選ぶ際には、業者が運営するホームページの「施工事例」や「お客さまの声」が参考になります。
2.補助金を使えるかチェック
アスベストを含む外壁の塗装では通常の塗装工事とは違う工程が必要になる場合もあるため、費用負担が大きくなる傾向にあります。そのため費用負担を軽くするうえで、「自治体の補助金が使えるかどうかのチェック」もとても重要です。
例えば「アスベストの事前調査の一部を負担してくれる制度」や「外壁のリフォーム費用を助成してくれる制度」など、さまざまな補助金制度があります。なお解体業者に相談するとお得な補助金を教えてもらえる場合があるので、一度聞いてみることをおすすめします。
アスベスト入りの「塗料」にも注意!
外壁の塗装剤としても使用されている「アスベスト入りの塗料」にも注意が必要です。
アスベスト入りの塗料は「建築塗装剤や接着剤、アスファルト舗装用塗料」といった幅広い用途で使われ、「外壁・内壁・床タイル・屋根材」などあらゆるところへの使用例が報告されています。
アスベスト入りの塗料はセメントや樹脂により固着されているため、塗膜面から飛散することは稀です。ただし建物の解体工事にともない建材を取り壊す場合には、アスベストが飛散する可能性があります。
飛散リスクを回避するためには、自分で壁や床のメンテナンスをする前に必ず業者に相談するようにしましょう。
外壁・塗料のアスベストのことは解体業者に相談
自宅の外壁や塗料のアスベストについて知りたい場合や相談事がある場合には、まず解体業者に相談すると良いでしょう。
もちろん、不動産会社やハウスメーカーなど、他業者にもアスベスト関連の相談は可能です。とはいえ、解体が専門でない業者はアスベストの正しい知識がなく、塗装時にトラブルが発生する可能性があります。また建て替えの際に工務店に依頼すると、下請けの解体業者とコミュニケーションを取る機会がなく、外壁のアスベスト除去用の補助金が利用できない可能性も。
一方で解体業者のなかには、アスベストの調査から除去まで一貫して行っている場合もあるため、外壁や塗料のアスベストについても親身に相談に乗ってもらえます。そのため外壁・塗料のアスベストに不安がある方は、解体業者へ直接委託し相談することをおすすめします。
まとめ
アスベストが使用されている外壁でも塗装できます。理由は、塗装自体がアスベストが飛散するような「壁を取り壊す作業ではない」からです。
またアスベスト入りの外壁のメンテナンスは劣化状況によって、塗装ではなく壁自体の解体工事が必要になるケースがあります。そのため外壁のメンテナンスを依頼する際には、アスベスト入りの壁の解体工事にも対応できる「解体業者」がおすすめです。
東京都目黒区の株式会社上池解体興業(BOCCOS/ボッコス)では、解体工事をフルサポートしております。東京都内を中心に関東地域において「木造住宅・ビル・店舗内装」などの解体工事を承っており、難しい解体工事の経験も豊富です。また当社では丁寧なヒアリングを心掛けておりますので、初めての方でも安心してご利用いただけます。お見積もりは無料ですので、当社ホームページ上の「電話やメール」からお気軽にお問い合わせください。
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